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『チョコレートパン』から考える、何度も読みたくなる絵本の秘密

読み終わった瞬間に「もう一回!」。子供にとって絵本は、百読を越して千読、万読とも言える書だ。そもそもなんでそんなに繰り返し読みたくなるのか?ロングセラー本にヒントを探し、専門家と考えてみた。

Photo: Shu Yamamoto / Text&edit: Yuriko Kobayashi / Cooperation: Yuki Chino (Book House Cafe)

ワクワクを倍増させる
現実と空想世界の“境目”。

『チョコレートパン』のように、大人が読んでも「?」となるあり得ない設定の物語。が、戸惑う大人を横目に子供たちは大熱中。それってなぜ?
「大人が読む本と絵本の最大の違いは、それが“コミュニケーションツール”であるという点です」と今福理博先生。

「子供が絵本を読むとき、絵柄にワクワクしたり、そこから得られる情報によって新しい世界を知ったりするという楽しさもありますが、最大の喜びは大人と一緒に遊びの時間を過ごせているという実感です。何度読んでも正解がなかったり、現実ではあり得ない設定だったりする物語は、大人と一緒に空想したり、自分だったらどうするかを考えたり、繰り返し読んでも会話が弾みますから、子供は大好きなんです」

磯崎園子さんによると、昨今人気なのは、「もしかしたら自分の身にも起こるかも?」という、現実と空想の境目を描く本。「パンが降ってきたり、壁の隙間から誰かが出てきたり。身近なものや場所が題材になると、空想の中に一抹の現実感が出てきて、子供はよりワクワクするんでしょうね」

『チョコレートパン』
長新太/著

『チョコレートパン』長新太/著 表紙

『こねて のばして』
ヨシタケシンスケ/著

『すいかのプール』
アンニョン・タル/著 斎藤真理子/訳

『かべのすきま』
中西翠/文 澤野秋文/絵

『もしものくに』
馬場のぼる/著