シネマコンシェルジュの映画監督論：高橋ヨシキ 「異次元の扉を開く、唯一無二の映画体験に陶然とする。」

あの監督の虜になった名シーンは？

サム・ライミ監督『死霊のはらわた』と、ジャック・ヒル監督『スウィッチブレイド・シスターズ』のほぼ全シーンなど。前者には若きサム・ライミがドライブイン・シアターに通い詰めて「面白いホラー映画はいったい何が〈面白い〉のか」徹底的に研究、咀嚼し、考え抜いた結果が作品の隅々に生かされており、一コマたりとも手を抜かない強い意志に圧倒される。

後者は貧しい不良少女の抗争を描く作品ですが、「ジャンル映画」が持てる力をすべてぶち込んだかのような怒濤の展開が娯楽映画のパワーのすさまじさを実感させてくれる。どちらも「一本の映画がどこまで突っ走ることができるのか」、その可能性を余すことなく示す作品だと思います。

好きな監督のベスト作品は？

ウィリアム・キャッスル監督『ティングラー 背すじに潜む恐怖』。映画そのものと、映画館に仕掛けられたギミックと観客の興奮が完全に一致する。唯一無比にして完全無欠。

好きな監督のイマイチだった作品は？

特にないです。

最近になって魅力的に感じるようになった監督は？

ニコラス・レイ、アキ・カウリスマキなど。

あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは？

特にありません（それは作家自身が決めることなので）。

個人的に今気になっている監督は？

特に「今！」というわけではないですが、マイケル・ベイ監督の突出して異常な作家性には常に注目しています。

将来が楽しみな次世代の監督は？

全員。