映画好きSYOへ7つの質問
Q1
あの監督の虜になった名シーンは?
SYO
ガス・ヴァン・サント監督『エレファント』の空の描写や李相日監督『スクラップ・ヘブン』のラスト等、数え切れません。
Q2
好きな監督のベスト作品は?
SYO
来年公開の藤井道人監督の新作『ヤクザと家族 The Family』。作品ごとに進化する才人です。映像センス、ストーリーテリングに演出力とさらに突き抜けた印象。
Q3
好きな監督のイマイチだった作品は?
SYO
特に思い至らないですが、オールドファン的にハマれない場合、裏を返せば新しい表現やジャンルを開拓しているという、むしろ良いことにも思います。
Q4
最近になって魅力的に感じるようになった監督は?
SYO
質問からズレるかもしれませんが、『ハングオーバー!』の監督、トッド・フィリップスの『ジョーカー』は衝撃でしたし、タイカ・ワイティティの『ジョジョ・ラビット』も突き刺さりました。
Q5
あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは?
SYO
藤井道人監督のスポーツ映画は絶対にエモいはず。意外ではないかもしれませんが、黒沢清監督が撮る宗教や信仰、また動物をどう撮るかも気になります。
Q6
個人的に今気になっている監督は?
SYO
『母の残像』『テルマ』のヨアキム・トリアーは、価値観を変えられた大好きな映画監督。映像に“思い”がこもっていて、観るたびに感情を持っていかれます。
Q7
将来が楽しみな次世代の監督は?
SYO
映画配給・製作会社A24の作品が大好きなのですが、彼らが連れてくる新鋭監督が軒並み天才ばかり。アリ・アスターにロバート・エガースに……。A24ブランドに注目しています。
2010年以降の「この監督のこの一本」。
マイク・ミルズの『人生はビギナーズ』
観賞者を包み込む、温かく美しい作品世界。
映画を観ていると、ごく稀に「この作品に出会うために生きてきたんだ」と思える瞬間があります。また、「この作り手が見ている世界の色は、自分と同じだ」と感じられて、心を丸ごと救われる時もある。僕にとって『人生はビギナーズ』は、その両方が訪れた作品でした。端的に言えば「一人じゃない。理解者がいる」と勇気づけられたのです。
本作は、ゲイをカミングアウトした父と、余命わずかな父の遺された日々を見守った息子(と愛犬)の物語。マイク・ミルズ監督はCMやMVも手がけ、デザイナーやアートディレクターとしても活躍する人物。美的センスがずば抜けている(モノローグの中に、スライドショーを挟む演出が特徴的です)のですが、僕がほっとしたのは「孤独の描き方」。
淡々と穏やかで、なのに寂しい。少しくすんだ色調と、ぽつぽつと紡がれるテンポ、緩やかなトーン。ユアン・マクレガー演じる息子のまなざし。父の愛犬との一方通行の対話。作品が持つ“体温”が、自分と全く同じでした。多分こんな映画には、もう会えないと思います。数少ない、「生涯共に歩んでいきたい」作品です。