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シネマコンシェルジュの映画監督論:aggiiiiiii「監督自身のライフヒストリーにも心をまれる。」

巨匠から新鋭まで、素晴らしい監督たちが次々と登場する今、観るべき監督を知るには、やっぱり信頼できる映画通の後ろ盾が欲しいもの。独自の審美眼で映画シーンを追いかけ続ける30人に頼ることに。

Illustration: Thimoko Horiguchi / Text: Yoko Hasada, Aiko Iijima, Saki Miyahara, Konomi Sasaki / Edit&Text: Emi Fukushima

映画好きaggiiiiiiiへ7つの質問

Q1

あの監督の虜になった名シーンは?

aggiiiiiii

冒頭で踊りだしたくなる映画は間違いないというのが持論。マイク・ミルズ監督の『20センチュリー・ウーマン』でグレタ・ガーウィグが跳ね始めるシーンは、まさしくその瞬間でした。

Q2

好きな監督のベスト作品は?

aggiiiiiii

グザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』。心に忠実な姿で生きると決めたことで、最愛の人を失う悲しみ。鬼気迫る演技に息もできません。

Q3

好きな監督のイマイチだった作品は?

aggiiiiiii

続編があればまた絶対に観ますが、リチャード・リンクレイター監督『ビフォア・ミッドナイト』。先行2作を支えた胸キュン要素が影をひそめ、別れのチラつく不機嫌な2時間が辛かった……。

Q4

最近になって魅力的に感じるようになった監督は?

aggiiiiiii

クリストファー・B・ランドン監督。『ハッピー・デス・デイ』が面白く、続編もすぐに観賞。絶望でこんなに笑えるとは!

Q5

あの監督に撮ってほしい、意外なテーマは?

aggiiiiiii

ポン・ジュノ監督に『幽幻道士』『来来!キョンシーズ』のリブートを。現代の感覚の、奇妙な死体運搬の珍道中を観てみたい。

Q6

個人的に今気になっている監督は?

aggiiiiiii

リリアン・サムナー監督。デビュー作『LUCAN ASKS WHY』でキム・ゴードンの娘らを主演に起用する、90年代のガールズカルチャーを受け継ぐ精神がとても気になります。

Q7

将来が楽しみな次世代の監督は?

aggiiiiiii

ZINEを作っていた頃から、石原海監督のセンスは圧倒的。映像もアウトローで、おしゃれで派手。どんな生き方をしたら、こんな世界を生み出せるのだろう。

2010年以降の「この監督のこの一本」
ソフィア・コッポラの『オン・ザ・ロック』

父と娘の関係。パーソナルな思いが映画を通して伝わる。

これまでも『ロスト・イン・トランスレーション』や『SOMEWHERE』で、自身を思わせるヒロイン像とともに私的な経験を作品にしてきたソフィア・コッポラ。最新作『オン・ザ・ロック』を観て、彼女が唯一無二の魅力を発揮するのは、やはりこうしたパーソナルな視線のものだと改めて感じました。

主演のラシダ・ジョーンズの雰囲気は、コッポラそのもの。2人の娘を持つ作家という設定も監督本人を彷彿させます。ビル・マーレイは洗練された遊び人の父親を演じ、近年目にした彼の役柄の中でも飛び抜けてチャーミング!

息の合った2人の掛け合いは軽快で、実際の父親であるフランシス・コッポラの存在を感じさせながらも、物語は主人公が親離れの時期にあることを描き、ほろ苦い気持ちに。そして、劇中の父娘が往年のスパイよろしくオープンカーで駆け巡るのは、新型コロナ拡大の影響でロックダウンする直前に撮影されたNYの街。家族愛、親子愛、なんでもない日常への愛に溢れ、観終わったあとには、きっと愛しさで胸がいっぱいになっているはずです。