Eat

Eat

食べる

シュークリームはパティシエの名刺代わりのお菓子。Vol.4〈Equal〉

クリームには、パティシエのこだわりが詰まっている。老舗洋菓子店の味を守る職人から、新進気鋭のシェフまで、シュークリームが評判の店にそこに込めた思いを聞いた。Vol.3はこちら

photo: Atsushi Kondo / text: Yuko Saito / styling: Misa Nishizaki / food: Namie Omi

Equal(幡ヶ谷)

フランス菓子の技法で炊いた、洋菓子風のぷるんとしたクリーム

人気ビストロ〈PATH〉でパンや焼き菓子を担当する後藤裕一さんが、2019年に構えた菓子店へ。パティシエールを炊く作業を取材に訪れると、大きな銅鍋が待っていた。先輩パティシエから譲り受けたという。「うちのパティシエールは、一瞬で火を入れて仕上げるので、熱伝導がいい銅鍋じゃないと作れないんです」

2人がかりで、卵液と牛乳を合わせ、まさに、一気呵成に炊き上げる。
「パティシエールは、炊けば炊くほど、ねっとりとした食感になっていく。僕は、シュークリームでもタルトでも、流れ出ないで、ちゃんとそこにとどまっている、ぷるんとした、クリームらしい食感が好きなんです」

シュークリームには、これを泡立てた生クリームと混ぜて詰めている。商店街にあるここは、フランス菓子店ではなく、子供もおばあちゃんも立ち寄れる街のお菓子屋さんにしようと、決めていた。だから、ぷるんとしたクリームを包むシュー皮も、当初はふかふかの洋菓子風を目指していた。が、どうにもしっくりこない。

ならば、「自分が持つフランス菓子の技法を使って、当たり前の材料で、ちゃんとおいしい日常の菓子を作ろう」。結果、アーモンドクリームを絞って焼いた、時間が経ってもおいしい皮に辿り着いた。このシュークリームへの考え方が、店の菓子すべてに踏襲されている。

最後にカスタードの思い出を尋ねると、「子供の頃、おばあちゃんがよく買ってきてくれた〈コージーコーナー〉のジャンボシュークリームかなぁ」。やっぱりシュークリームだった。

幡ヶ谷〈Equal〉シュークリーム
シュークリーム300円は、3個入り920円も。