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全国カスタードおやつカタログ 〜プリン編〜

古今東西のおいしいものを知り尽くしたフードジャーナリスト12人が、お気に入りの逸品をセレクト!牛乳と砂糖、卵を混ぜ、加熱して作るプリンは、そのシンプルさゆえに味わいの違いも歴然。昔懐かしいミルキーな一品から、近頃人気の硬めまで、さまざまなタイプが揃う。

photo: Kunihiro Fukumori, Ryo Arai, Makoto Iwanami, Seiji Ueda / text: Yuki Konishi, Sachiko Ishizaki, Mako Yamato, Miho Inada, Tomoko Ikuno / edit: Ai Sakamoto

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パティスリー ビガロー(桜新町/東京)

パティスリー ビガローのプリン
瀬戸理恵子(フードエディター)select プリン ¥360

シンプルだからこそ際立つトップパティシエの職人技。

2014年にオープンした、桜新町・サザエさん通り沿いのパティスリー。オーナーシェフは、権威ある国際コンテストで受賞歴のある石井亮さん。店内には、真面目に作られた伝統的なフランス菓子が並ぶ。素朴ながら技の光るプリンは滑らかでバニラビーンズたっぷり。「ふるんと固まっているのに、口に入れるととろっと滑らか。どこをすくっても乱れのない、その絶妙な質感に職人技を感じます。カラメルも苦すぎず、蜂蜜のまろやかな甘さにほっこり」。

タカノフルーツパーラー(新宿/東京)

タカノフルーツパーラー プリン・ア・ラ・モード
 吉田直人(柴田書店 書籍部長)プリン・ア・ラ・モード ¥1,100

9種のフルーツと、バニラアイスとも好相性。
「主役もこなせてバイプレーヤーとしても力を見せつける  そんな器用でニクイやつ」と吉田さんが言うように、フルーツの酸味と絶妙に合うプリンは、基本のレシピはそのままに、時代に合わせて甘さを控え、クリームでコクを出すなど改良を重ねた。「バニラの風味を品よく漂わせ、軟らかすぎず、硬すぎずの程よい食感」。イートインのみ可能。

ホワイトグラスコーヒー(渋谷/東京)

ホワイトグラスコーヒープリン
chico(スイーツライター)select 濃厚プリン ¥380

クラフト系カフェが作る硬めプリンのニューカマー。
ビーントゥバーの人気店〈グリーン ビーン トゥ バー チョコレート〉が開いたコーヒーロースターでは、フードも店内で手作り。プリンは多くのプリンファンから指名を受ける一品だ。「ぷるっと弾力がありつつ滑らか。卵とミルクのコクが広がるプリンにさらりとしたカラメルソースが好相性です」。乳脂肪分を除き濃縮させた乳製品を用い、あっさりかつ風味豊かに。全卵を多く配合し、低温で長時間湯煎焼きすれば、しっかり硬め食感の出来上がり。

グーテ・ド・ママン(三田/東京)

グーテ・ド・ママンのプリン
平岩理緒(スイーツジャーナリスト)select キャラメルプディング ¥420

ビターなカラメルが包むシンプルイズベストの味。
卵、牛乳、砂糖、生クリームという、ごくシンプルな材料。しかし、香り高いカラメル、弾力はありつつ滑らかなプリンの素晴らしいバランスは考え尽くされている。「テイクアウト用はアルミカップなのも、どこか懐かしい。お皿に出すとカラメルがプリン全体を覆い、実に心躍る装いに。卵と乳の素直で優しい味わいと、ほろ苦いカラメルとの対比が楽しめます。幅広い世代から愛されているのも納得。1日に作れる個数に限りがあり、予約推奨です」。

コティ(三鷹/東京)

〈コティ〉のプリン
渡辺 P 紀子(フードエディター)select プリン ¥240

カラメルソース好き垂涎のしっかりビターなオトナ味。
三鷹の駅から少し離れた商店街で店主の小笠原朋子さんが1人で営む、小さな焼き菓子店。入口正面の小さなショーケースにはモンブランなどの生菓子も。やや小ぶりで上品な佇まいのプリンは、カラメルソースが特徴的だ。「おそらく、中から出さずにそのまま食べる想定で作られていると思うのですが、我が家は必ずひっくり返しています(技術が必要)。すると、カラメルソースがたっぷりなのがよくわかる。やや硬めの食感も好きです」。

マハカラ(中目黒/東京)

〈マハカラ〉のプリン
はなとも(スイーツライター)select うれしい(カスタード味) ¥421

居酒屋メニューが原点の滑らかな蒸しプリン。

中目黒〈いか玉焼きと串カツ ハカラ〉のデザートメニューが人気となって誕生した、プリン専門店。「特徴は、なんといっても卵の味。濃厚なコクがしっかりと伝わる極上の一品です」。カスタードに使っている兵庫県産「日本一こだわり卵」は、イワシの魚粉や小麦胚芽などを使ったエサにパプリカを加えることで、黄身の色がオレンジに。カラメルはほろ苦い。卵白多めの「白」ほか、季節のメニューも。

エゾアムプリン製造所(富良野/北海道)

北海道 プリン お取り寄せ
小西由稀(フードライター)select
エゾアムプリン1ホール 3,300円

大きさと味わいに驚く北海道産100%プリン

工房があるのは、富良野の小麦畑の丘の上。毎朝、生産者の元に取りに行く搾りたて牛乳や卵、北海道産の生クリームとテンサイ糖、さらに山麓の湧水を使用している。生地にカラメルソースを混ぜ合わせ、直径約20㎝の陶器で3時間じっくり蒸し焼きに。「上の層はベイクドチーズケーキのような食感で濃厚、その下はしっかりめ。徐々に卵の味わいが増すので、日々の変化も楽しいプリンです」。要予約。

洋菓子・喫茶 ボンボン(名古屋/愛知)

石崎幸子(ライター、編集者)select
プリン 190円 イートインは生クリームとサクランボ付き 330円

シンプルで美しい!郷愁誘う不滅の名品

昭和24(1949)年創業の洋菓子店&喫茶店。30種類以上揃うケーキは、大半が200~300円台とお値打ち。先代が考案したプリンは甘く、硬めの正統派で、カラメルは苦めに仕上げて味の強弱をつける。「口当たりの優しさと意外なほろ苦さのカラメルが郷愁を誘います。昭和の応接間みたいな喫茶店の空間も味わいの一つ」。

無碍山房(京都/京都)

大和まこ(ライター)select
昔プリン 1,100円

料亭らしい上品さと、練乳を思わせる濃厚さ

料亭〈菊乃井〉が展開する茶房のプリンは当主・村田吉弘さんが子供の頃に食べた味を再現したもの。2022年秋から蒸し焼きに進化した。「少し香ばしさも感じるコクは、半量になるまで煮詰めた牛乳を使っているから。そこに卵黄を加えることで濃厚に、けれどしつこくない加減がちょうど。エッジの立った硬さも好み」。苦さ控えめなカラメルと、同じ牛乳で作ったアイスを添えて。

なかたに亭(大阪/大阪)

門上武司(フードコラムニスト)select
クレーム・オ・ショコラ 572円

上質なデザートを思わせる滑らかで濃厚な味わい

昭和62(1987)年創業、大阪を代表するパティスリー。20年以上の歴史を刻む「クレーム・オ・ショコラ」は、キャラメリゼしない、チョコレート味のクレーム・ブリュレ。「滑らかな舌触りと生地の適度な硬さにショコラの香りが加わる、西洋料理のデザートのような一品。口の中に残る余韻の長さと、鼻腔に抜けていく香りがやみつきの味わいに。食感を楽しむプリンとも言えます」。

モロゾフ 神戸本店(神戸/兵庫)

いなだみほ(スイーツライター)select
兵庫県産こだわりミルクのカスタードプリン 378円

兵庫県産牛乳がまろやかな地元愛感じる限定プリン

2019年、〈モロゾフ 神戸本店〉がリニューアル。創業約90年の伝統と革新、神戸らしさを詰め込んだリスタートに際し、神戸本店限定のプリンも発売した。生クリーム、カスタードプリン、カラメルの3層から成る一品は程よい弾力と極上の滑らかさが魅力だ。「兵庫県産牛乳のまろやかなコクを生かしつつ、優しい甘味もある。そんなプリンとふわっと軽く清涼感ある生クリーム、しっかり苦味を感じるカラメルが絶妙なバランス」。

カフェマルゴ 向野店(福岡/福岡)

生野朋子(編集者、ライター)select
カスタードプリン 340円

クラシカルなおいしさがコーヒータイムを至福に

糸島〈板垣ファーム〉の卵、乳脂肪分48%以上の生クリームなど素材にこだわり、コーヒーに合うクラシカルなプリンを追求。低温でゆっくり蒸し焼きにすることで、軟らかすぎない絶妙な質感に。「スプーンを入れると適度に弾力があり、口に入れると滑らか。カラメルにはしっかりと苦味があって、コーヒーと味わうと、至福です」。カップから皿に移して、たっぷりのカラメルを絡めて食べるのがおすすめだ。

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