突き出た雑誌を目印に、多様なジャンルの棚を探索する
奥に細長い、うなぎの寝床のような造りの店内。入口から建築、本屋の本とジャンルで固めてあることはわかるが、奥へ奥へと進むにつれて本の海に呑まれそうになる。最奥で巡り合ったのが「東京本」のコーナーだ。よく見ると『東京人』はもちろん『散歩の達人』や『RiCE』など、雑誌の“東京”特集がずらり。
「棚に雑誌がささっていて面白い、と言ってくれる人もいますね」とは、店主の佐々木友紀さん。そう聞いて入口に戻れば、住宅にまつわる本の棚にささる『別冊太陽』の家特集が、本屋の本の棚の『建築知識』の美しい本屋特集が、浮き立って見えてくる。雑誌というと雑誌コーナーにあるイメージだが、こちらでは各ジャンルの目印になっているのだ。
「雑誌は最新号が出たら前の号は返品するんです。新しい情報が詰まっている分、古くなりやすいですから。でもいい本を長く売りたいし、その“本”のなかに雑誌も含まれている。だから面白いものは気合で買い取って残すようにしています。漫然と置いて棚が凸凹にならないよう、綺麗な山脈を作るよう心がけていますね」