Drink

Drink

飲む

今最も注目されるスピリッツ、「ジン」にフォーカスしたバー4選

ここ数年で東京にオープンした、クリエイティブなカクテルが楽しめる新鋭バーの中から、「ジン」をキーワードに4軒をセレクト。今最も注目されるスピリッツ、ジンにフォーカスしたカクテルをご賞味あれ。

photo: Shin Hamada / text: Ku Ishikawa

The World Gin&Tonic Antonic(中目黒)

ジントニックというプラットフォームに、さらに特化

メニューはジントニック、ただそれのみ。一方でジンの奥深さを伝えるため、世界中のジンを揃え、香りや風味といった個性に合わせてさまざまなグラスで提供。生産者の思いに寄り添おうと工夫を凝らす。「国内外で新たな造り手が増加中。ジンそれぞれの生産者や背景、過程を知るともっと楽しめるはず」と、マネージャーの宮武祥平さん。

注目はパリを拠点とする、ニコラ・ジュレスの〈ディスティレリ・ド・パリ〉。調香師として蒸留の知識を深めた彼は、香りに対する独自の考え方をもとにユニークなジン造りを行う。多彩な味とともにその一本が生まれるまでの物語も堪能しよう。

中目黒〈The World Gin&Tonic Antonic〉ジントニック
香り高い「ディスティレリ・ド・パリ ベル・エール」を使った、ジントニック1,300円。
中目黒〈The World Gin&Tonic Antonic〉店内
「世界中のジンから、必ず自分好みのものに出会えます」と宮武さん。

Stage by The Ethical Spirits & Co.(蔵前)

蒸留所を併設。自前主義だからこそのオリジナルな一杯を

生産現場のすぐ近くで飲めるのが、ここならではの魅力。提供されるジンは、すべて同ビル内に併設された〈東京リバーサイド蒸溜所〉で生み出されたもの。「飲食店で余ったビールや日本酒、酒粕を使うなど、サステイナブルなジン造りを大事にしています」と、バーテンダーの内山ももえさん。

例えば、濃いめの麦茶とスーズに漬け込んだホップ、ヒヨコ豆の煮汁で造る「イミテーションビール」のベースのジンは、コロナ禍で余ったヒューガルデン・ホワイトが原料。カクテルを彩るラベンダーなどのハーブも屋上の菜園で育てるなど、自前の精神から生まれるレシピも面白い。

蔵前〈Stage by The Ethical Spirits & Co.〉イミテーションビール、アーストゥグラス
まるでビールのような、イミテーションビール1,300円(左)。ボタニカルな香りのアーストゥグラス1, 400円(右)。
蔵前〈Stage by The Ethical Spirits & Co.〉店内
「メニューはスタッフ皆で考えます」と内山さん。

BAR CONNECT(中野)

カクテルにおける、ジンの可能性を掘り下げる

流行する以前からクラフトジンに注目していたのが、オーナーバーテンダーの大澤裕也さん。今や全国的にジン専門店が増えたが、彼が掲げる次なる目標は、飲み方の提案だ。「カクテルのベースで、ジンは最もポピュラー。トニックやソーダ割りで楽しむ方が多いですが、もっとほかの飲み方で、ジン本来の奥行きを知ってほしいんです」。

駄菓子の「すもも漬」から着想を得るなど意外性のあるレシピを考案したり、様々なカクテルをコースで提案したりと、ジンの裾野を広げようとするサービス精神は、明るく朗らかな接客からも伝わる。

中野〈BAR CONNECT〉ジンバジルスマッシュ、スモモのジントニック
爽やかなジンバジルスマッシュ1,870円(左)。「すもも漬」を使った、スモモのジントニック1,650円(右)。
中野〈BAR CONNECT〉店内
元ダンサーの大澤さん。迫力あるシェイクも見どころ。

Bar Soutsu(小岩)

研究者気質のバーテンダーと、ジンの深淵に触れよう

照明が限りなく落とされた店内。壁には約900種類ものジンが所狭しと並ぶ。「ランタンを片手に、今日飲むジンを探していただきます。偶然性も楽しみつつ、ぜひクラシックな銘柄との出会いも楽しんでほしいですね」と、オーナーバーテンダーの小野寺総章さん。

そのボトルの収集数からもわかる通りの、コレクター気質。ジュニパーベリーの産地から蒸留器の性質まで多角的に研究を行い、ジンのさまざまな魅力に触れるカクテルを100種類以上も用意している。「ジンは数日程度で完成するお酒。その分さまざまな素材を使って繰り返し実験的に造れる、自由度の高さが面白い」。ラボを垣間見る感覚で、ジンの海に飛び込んでみては。

小岩〈Bar Soutsu〉ジュニパー&トニック
最もジュニパーベリーをリアルに感じられるように作った、ジュニパー&トニック1,200円。
小岩〈Bar Soutsu〉店内
毎日飽くなきカクテルの“実験”に打ち込み続けている、小野寺さん。