The World Gin&Tonic Antonic(中目黒)
ジントニックというプラットフォームに、さらに特化
メニューはジントニック、ただそれのみ。一方でジンの奥深さを伝えるため、世界中のジンを揃え、香りや風味といった個性に合わせてさまざまなグラスで提供。生産者の思いに寄り添おうと工夫を凝らす。「国内外で新たな造り手が増加中。ジンそれぞれの生産者や背景、過程を知るともっと楽しめるはず」と、マネージャーの宮武祥平さん。
注目はパリを拠点とする、ニコラ・ジュレスの〈ディスティレリ・ド・パリ〉。調香師として蒸留の知識を深めた彼は、香りに対する独自の考え方をもとにユニークなジン造りを行う。多彩な味とともにその一本が生まれるまでの物語も堪能しよう。
Stage by The Ethical Spirits & Co.(蔵前)
蒸留所を併設。自前主義だからこそのオリジナルな一杯を
生産現場のすぐ近くで飲めるのが、ここならではの魅力。提供されるジンは、すべて同ビル内に併設された〈東京リバーサイド蒸溜所〉で生み出されたもの。「飲食店で余ったビールや日本酒、酒粕を使うなど、サステイナブルなジン造りを大事にしています」と、バーテンダーの内山ももえさん。
例えば、濃いめの麦茶とスーズに漬け込んだホップ、ヒヨコ豆の煮汁で造る「イミテーションビール」のベースのジンは、コロナ禍で余ったヒューガルデン・ホワイトが原料。カクテルを彩るラベンダーなどのハーブも屋上の菜園で育てるなど、自前の精神から生まれるレシピも面白い。
BAR CONNECT(中野)
カクテルにおける、ジンの可能性を掘り下げる
流行する以前からクラフトジンに注目していたのが、オーナーバーテンダーの大澤裕也さん。今や全国的にジン専門店が増えたが、彼が掲げる次なる目標は、飲み方の提案だ。「カクテルのベースで、ジンは最もポピュラー。トニックやソーダ割りで楽しむ方が多いですが、もっとほかの飲み方で、ジン本来の奥行きを知ってほしいんです」。
駄菓子の「すもも漬」から着想を得るなど意外性のあるレシピを考案したり、様々なカクテルをコースで提案したりと、ジンの裾野を広げようとするサービス精神は、明るく朗らかな接客からも伝わる。
Bar Soutsu(小岩)
研究者気質のバーテンダーと、ジンの深淵に触れよう
照明が限りなく落とされた店内。壁には約900種類ものジンが所狭しと並ぶ。「ランタンを片手に、今日飲むジンを探していただきます。偶然性も楽しみつつ、ぜひクラシックな銘柄との出会いも楽しんでほしいですね」と、オーナーバーテンダーの小野寺総章さん。
そのボトルの収集数からもわかる通りの、コレクター気質。ジュニパーベリーの産地から蒸留器の性質まで多角的に研究を行い、ジンのさまざまな魅力に触れるカクテルを100種類以上も用意している。「ジンは数日程度で完成するお酒。その分さまざまな素材を使って繰り返し実験的に造れる、自由度の高さが面白い」。ラボを垣間見る感覚で、ジンの海に飛び込んでみては。