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互いの個性が引き立つ、カクテル×スイーツのペアリング体験ができるバー4選

ここ数年で東京にオープンした、クリエイティブなカクテルが楽しめる新鋭バーの中から、「デザート」をキーワードに4軒をセレクト。互いの個性が引き立つ、スイーツとカクテルのペアリング体験をご賞味あれ。

photo: Wataru Kitao / text: Erina Ishida

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カクテル×スイーツのペアリング体験ができる東京のバー4選

Bar werk(神宮前)

バーテンダーと料理家が練り上げる、巧みなコンビネーション

神宮前〈Bar werk〉ハーブのカクテル、パンナコッタ
ハーブのカクテル1,540円(左)、パンナコッタ770円(右)。基本デザートのポーションは小さめ、シンプルな仕様で提供。カクテルは余韻にガツンとしたジンのニュアンスが香る。

以前は寿司屋だったというミニマルな店内。ここでは、カクテルに合わせて料理家の長尾智子さんが考案したデザートが楽しめる。カウンターに立つのは、千駄ヶ谷のカフェ〈Tas Yard〉で店長を務めていたバーテンダーの成田玄太さん。「バーではありますが、料理が注文された時こそ腕が鳴ります。ドリンクとのバランスと、季節や気分に合わせることも意識。お客さんが新鮮に感じられる、この店ならではの組み合わせを目指しています」。

夏に2人が提案するのは、ショウガを効かせたパイナップルソースのパンナコッタと、若々しいハーブを使ったカクテルだ。後者はバジルとカルダモン、多めのレモンをフレッシュな状態で潰し、ジンを加えてシェイク。飲むたびに芳香が鼻を突き抜ける爽快な味が、滑らかでミルキーなパンナコッタと引き立て合う。成田さんいわく、「それぞれの個性を味わうことで完成するペアリングです。交互に飲んでは食べてを繰り返してもらえたら」。

CACAOTAIL(門前仲町)

まるでチョコレート工房。カカオの奥深さを余すことなく

門前仲町〈CACAOTAIL〉ホワイトチョコレートサラミ、ケツァール
フィグの優しい甘味と酸味、チーズの塩味がポイントのホワイトチョコレートサラミ1,200円(左)。ケツァール1,650円(右)はフルーツの黄みとブルーキュラソーで鮮やかな緑色に。

ビアバーなどの酒場が多く並ぶ門前仲町の裏路地。扉を開けると、大きなコの字カウンターやアンティーク風シャンデリアが目を引く、クラシカルな異空間が広がる。「バーで働く中でお酒とチョコの相性を掘り下げたくなり、カカオ豆から板チョコまで一貫して作る“ビーントゥバー”を学びました。この町を選んだのも、新しい酒場が受け入れられる土壌があると思ったからです」と、店主の萩原陽介さん。

ここではチョコレートベースだけでなく、カカオの果肉や香りのみを抽出した、フルーティなカクテルも楽しめる。その一つが、中南米に生息する、美しい鳥、ケツァールがモチーフの一杯。鳥形のグラスに注がれた鮮やかなグリーンのカクテルは、カカオパルプ、トロピカルフルーツを加えたジン、ホワイトビールなどを合わせた爽快な味。ドライイチジクやクルミ、アクセントにブルーチーズを詰め込んだ、甘じょっぱい自家製チョコレートサラミと一緒にいただきたい。

+α. -Dessert BAR-(雑司が谷)

下町で体験。レストラン仕込みのデザートペアリング

雑司が谷〈+α. -Dessert BAR-〉コンブチャジン、ハーブチーズケーキ
コンブチャ ジン(左)とハーブチーズケーキ(右)。共に1,200円。夏に最適な甘酸っぱいペア。ケーキの形は『トムとジェリー』に登場する、エメンタールチーズをイメージ。

製菓の専門学校を卒業後、イタリアンバール〈バール・デルソーレ〉やレストランにて、調理やバリスタ、バーテンダーとしての腕を磨いた店主、市原瑞己さん。大きな皿に繊細に盛り付けたアシェットデセールは、まさに経験の集大成。

「デザートとドリンク、どちらもおろそかにしたくない。自分が触れてきたさまざまな飲食の視点から追求したい、互いにしっかりと寄り添うペアリングがテーマです」。ローズヒップティーを発酵させた自家製の「コンブチャ ジン」は、香草系のジン「ポーリ マルコーニ」を合わせる。「コンブチャ特有の酸味を程よくまろやかに。ハーバルな統一感を狙い、チーズケーキにはディルを散らしました」。

2022年7月にオープンしたばかりのモダンな空間には、ギャラリーの要素も取り入れた。「“やればできる”の精神で、設計や内装もなるべく自分で。壁に飾っているのは、友人と私の作品です。心ゆくまで飲んで食べて、アートも楽しんでもらえたら」。

TIGRATO(四ツ谷)

酒もコーヒーも、ジェラートも。欲張り気分を満たす店

四ツ谷〈TIGRATO〉エスプレッソマティーニ、「やよいひめ」ソルベ
エスプレッソマティーニ1,400円(左)、ジェラート3種700円(右)。カカオ、チョコレート味の上に、仕入れたばかりの「やよいひめ」ソルベを。イチゴの果肉の粘り気を水飴で再現。

複数の液体を混ぜ合わせるバーテンダーの技術と重なるものがあると、ジェラート作りに着手した店主の高宮裕輔さん。彼はコーヒーカクテルのスペシャリストでもあり、“バーの間口を広げる”という思いのもと、カフェバーとジェラテリアも兼ねた店作りを行った。その逸品を求めて近所の学生や家族が訪れ、昼時に満席になることも。

1杯目にオーダーする人が多いという、苦味少なめ、クリーンな口当たりのエスプレッソマティーニ。合わせるジェラートは、旬のフルーツやカカオなどの味が前面に押し出されたテイストだ。「糖度や粘性、油分を細かく計算しながら、テンサイ糖かトレハロースで、ベストな状態に仕上げます。上質な素材を仕入れ、本来の味を最大限に引き出す。カクテルにも通ずるポリシーです」。

店内を見渡せば、至るところに猫のモチーフが。「ここは愛猫家の画家・藤田嗣治がかつて住んでいた跡地。イタリア語で“トラ猫”の店名もそれにちなんでつけました」。

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