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世界一の鉱物コレクター、ビル・ラーソン・コレクション〜後編〜

自他共に認める世界一のミネラルコレクター、ビル・ラーソン。鉱山を所有し採掘だってお手のもの。70年以上かけて集めたコレクションは、度肝を抜くものばかりだ。ここでは彼の収集史と併せて、そのごく一部を紹介!前編はこちら

本記事も掲載されている、BRUTUS特別編集「合本 珍奇鉱物」は、2023年12月5日発売です!

photo&text: Aya Muto

ビル・ラーソンが世界一のコレクターたる所以

10代の頃には、当時工具店で買えたという簡易ダイナマイトを使って採掘をしていたビルさん。憧れの大学だったコロラド・スクール・オブ・マインズに熱い手紙を送るほど、鉱物に夢中だった。その後、地学エンジニアの学位を取って憧れの大学を卒業し、68年にビルさんの採掘知識と腕を見初めた鉱山主と〈Pala International & Property〉を立ち上げた。

そして72年に行ったブルーキャップ・トルマリンの採掘で、一躍鉱物界の名士へと名を上げる。世界に37点しかない標本の中には、スミソニアン国立自然史博物館に常設展示されているものもあるほど。このトルマリンは、現在の〈Pala International〉のロゴにもなっている。

10代の頃には、当時工具店で買えたという簡易ダイナマイトを使って採掘をしていたビルさん。憧れの大学だったコロラド・スクール・オブ・マインズに熱い手紙を送るほど、鉱物に夢中だった。その後、地学エンジニアの学位を取って憧れの大学を卒業し、68年にビルさんの採掘知識と腕を見初めた鉱山主と〈Pala International & Property〉を立ち上げた。

そして72年に行ったブルーキャップ・トルマリンの採掘で、一躍鉱物界の名士へと名を上げる。世界に37点しかない標本の中には、スミソニアン国立自然史博物館に常設展示されているものもあるほど。このトルマリンは、現在の〈Pala International〉のロゴにもなっている。

「アフリカ、アジア、ユーラシア大陸を駆け巡り、様々な採掘事業を手がけてきました。その土地の歴史や地学史、暮らす人々の民俗史まで、鉱物にまつわる物語にずっと魅了されています」。70年以上かけて積み上げてきた膨大なコレクション。そして蓄積してきた鉱山知識こそ、ビルさんが世界一たる所以なのだ。
 
2022年の1月、米・サンディエゴのパラ地区にある、ビルさんが提携しているキング鉱山に、新しいトルマリンのポケットが発見された。

「1922年に閉山してちょうど100年、10年応援し続けた今の鉱山主がポケットを掘り当てた時は、どれだけ嬉しかったことか……!」。同年のツーソン・ショーでその標本はお披露目され、すでにアメリカ自然史博物館に納品されているという。

3月にはまた新しいポケットが発見され、さらなる鉱物結晶の存在が示唆されている。世界を巡り辿り着いたのは、地元の鉱山。まだ見ぬ鉱物を狙うビルさんの目は、鉱物に出会った頃と変わらない。その鍛え抜かれた審美眼で、これからも鉱物業界を騒がせてくれることだろう。