あんこから炊くパン屋のあんパン4選
製餡所に頼めば理想のあんこも手に入る時代に、あえて自ら炊くベーカリー。炊き加減、食感、香りなどパンとのバランスを考え調整するからこそ生まれる、パン職人渾身のあんパンの魅力に迫る。
〈オー ト ウー〉あんこフランボワーズ
意外な素材を組み合わせたパン作りが得意な薄井雅治シェフ。浸水の工程を省き、小豆本来の甘味を引き出した餡には、キイチゴの酸味を加える。カスタードとナッツのクリームも忍ばせ、あんこの味わいにコクもプラス。
〈アマムダコタン表参道店〉あんこ練乳バター
マリトッツォブームを仕掛けた福岡の人気店が、2021年、東京進出。リュスティックに挟むつぶあんは、パン生地の弾力に負けないよう、硬めの食感に炊き上げる。宮崎の高千穂バターを使用した濃厚な練乳バターとの相性がいい。
〈ジュウニブン〉あんぱん
「日本のパンの再発見」をテーマに、〈365日〉の杉窪章匡シェフが展開するこの店では、煮てもアクが少なく旨味が逃げない、北海道十勝本別産の特別栽培小豆を使用。グレープシードオイルを加え、小豆の香りを引き出す。
〈ナカヤ〉あんぱん
1933年創業の下町の老舗の看板商品で、1日800個を売ることも。北海道十勝産小豆を銅鍋で4時間、まめにかき混ぜて煮込み、まろやかな食感のこしあんに。また沖縄産の塩を効かせ、さっぱりとした後味の餡に仕上げている。
バラエティ豊かなクリームパン4選
パンという食べ物の懐の深さか、バラエティ豊かなラインナップのクリームパン。形には店ごとの個性が表れ、生地にブリオッシュやデニッシュを使ったリッチなものも。
〈レカー〉ヴァーム・デニッシュ
選んだ人:chico
デニッシュ専門店の詰めたてクリームパン。
バター、小麦粉は北海道産を選び、無添加で安心安全に。デニッシュ生地のバターがリッチに香り、詰めたてのクリームが優しさをプラスする。「オーガニックのタヒチバニラの香りがパッと広がる。クリームは生クリームを使わず高脂肪乳で滑らかに。エッジの立った見事な層はデニッシュ専門店ならでは。パリパリの生地とそこからあふれるクリームの食感のコントラストが楽しい」。
〈オ・プティ・フリアンディーズ〉スーリーぺぺ
選んだ人:平岩理緒
味も見た目もほっこり。フランス流の遊び心。
〈ビゴの店〉創業者のフィリップ・ビゴ氏に見込まれた藤森二郎さんが暖簾分けを許され、オリジナルで作ったクリームパン。「おじいちゃんネズミのペペが背中に孫ネズミをおんぶした姿がかわいらしい。レーズンやアーモンドスライスで描かれた表情が一つ一つ違うのも、心が和みます。自家製カスタードは滑らかで量も程よく、甘すぎないので、おやつにも朝食にもおすすめ。日本人にとって懐かしい、ほっとする味」。
〈ブーランジェリー コロン本店〉ブリオッシュ・カスタード
選んだ人:小西由稀
甘さのバランスが絶妙な、おやつというよりデザート。
小麦は100%、またその他の素材も極力北海道産のものを使用している。中でも、ブリオッシュ・カスタードはこの店でトップクラスの人気商品だ。「赤井川村の〈山中牧場〉の牛乳を使った甘さ控えめなクリームと、しっとりリッチなブリオッシュ生地、そこにアクセントを添えるグラニュー糖の食感が相まって、苦めのコーヒーが似合う、大人のためのクリームパンに進化しました」。
〈ストック〉キビック
選んだ人:生野朋子
コクのある濃厚クリームがフワフワ生地と相性抜群。
福岡が誇るベーカリー〈パンストック〉の姉妹店が2019年にオープン。本店とともに菓子パン人気のナンバーワンが、こちらの「キビック」だ。シェル形のかわいらしいフォルムで生地は長時間熟成のため、フワフワ&もっちり。濃厚な質感に仕上げたクリームは、キビ砂糖のコクのある甘味が特徴だ。「生地もクリームもふんわり口溶けが良く、口の中で一体となる瞬間がたまりません」。売り切れることもしばしば。