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お悩みをアニメ映画で解決!観る常備薬 〜日常編〜

人間、生きているといろんな悩みに直面する。そんな時は、アニメ映画を観てみよう。古典的名作から最新作まで、さまざまな示唆に満ちている。先生の“処方箋”には意外な解釈もあり、心を解きほぐしてくれるはず。

text: Akiko Yoshikawa

先生:川井久恵(『アニメージュ』編集長)、土居伸彰(アニメ評論家)

毎日がつまらないです。刺激を感じたいのですが

日常の中に刺激を見出して。

(川井)

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

毎日がつまらないとお嘆きのそこのあなた。お祭り騒ぎのように刺激的で楽しい日々がループして、永遠に抜け出せなくなってしまったとしたら……?

「今の生活をずっと続けていたい」というラムの願いが叶ったその世界。大好きな人たちと一緒に楽しい出来事を味わいたい、永遠に終わることなく──。それは果たして幸せなのか、はたまた恐怖なのか?

終わってほしくない気持ちはわかりますが、終わってしまうからこそ人生は尊いもの。なにげない日常の中にも楽しいことはきっとあるはず!

発想や見方を少し変えるだけでも、世界は刺激的になるのでは?

世界は広い! 一歩を踏み出そう

(土居)

『マインド・ゲーム』

まずは刺激的な映像に身を浸して、心を活性化させましょう。本作の後半、主人公たちは巨大クジラの腹の中で生活し、比較的楽しく暮らすのですが、でも最終的には「世界」を求めて脱出します。

そして世界の広さを改めて実感します。つまらなさを感じるのは心と環境の問題だということを教えてくれるのです。あなたも一歩を踏み出してみては?

映画『マインド・ゲーム』
©2004 MIND GAME Project

毎日がハードすぎます。癒やしが欲しいです

キラキラした高校時代を追体験

(川井)

『映画「けいおん!」』

高校でガールズバンドを結成した5人の女の子たちのゆるやかな部活ライフを描いた本作は、悪人が出てこない理想の世界。彼女たちが楽しんでいる姿を見ているだけで癒やされます。

コロナ禍でなかなか海外旅行に行けない今、ロンドンでのハプニングも含めて楽しめるはず。高校時代が輝いていた人はもちろん、そうじゃなかった人にも観てほしい。

映画『映画「けいおん!」』
©かきふらい・芳文社/桜高軽音部

わかりやすい「癒やし」は危険かも?

(土居)

『河童の腕』

河童がかわいらしいのですが、腕を引っこ抜かれて、鍋に入れて食べられ、UFOに連れ去られ、と散々な目に遭います。現代社会は、癒やされたいという気持ちに付け込まれることもあり、そんな警告も含まれているように思います。

また、河童は循環する自然の一部分であり、自分もまた一つの現象にすぎないと思えば、少しは気が楽になるのでは。

映画『河童の腕』
©ひらのりょう/FOGHORN