ドイツのカリーヴルスト
カレー粉オンで、ベルリン市民のソウルフードになったソーセージ
ソーセージにトマトソースをかけ、カレー粉を振っただけで、ベルリン市民を虜(とりこ)にしたのがカリーヴルスト。戦後の食糧難の時代、屋台の女性が始め、広まったとか。〈IngoBingo〉の酒井佑樹さんが、ベルリンから遠く離れた店で働いていた時も「シェフが時々、お客さまに頼まれていました」。
酒井さんはその味を再現。自家製ソーセージに、カレー粉やブイヨンを加えたトマトソースをかけ、カレー粉を振る。ソーセージに入るスパイスと重なり、クセになる。
南アフリカのバニーチャウ
アフリカ大陸最南端で見つけた、カレーと食パンの異色作
ガバッとくりぬいた食パンにカレーを詰めたバニーチャウは、インド系移民が60万人以上住むダーバン生まれ。起源は諸説あるが、「イギリス人が、インド人労働者を畑で働かせるために、器を使わずに持ち運べるよう作ったと聞いています」と、南アフリカフード親善大使でもある〈Tribes〉の石川邦彦さん。
パンをちぎってカレーをつけつつ食べ進むと、パンがしみしみに。これもまたオツだが、持ち運びには??だから、今は立派なレストランメニュー。
セネガルのマフェ
ピーナッツとの出会いで生まれた、西アフリカのカレーライス
アフリカの中でも、洗練された料理で知られるセネガルの名物の一つが、ピーナッツ風味のカレー、マフェだ。「カレーというより、シチューに近い。セネガルに限らず、サハラより南の西アフリカで広く食べられている家庭料理です。
このあたりは、ピーナッツがたくさん採れるので、ピーナッツオイルやピーナッツバターをよく使うんですよ」と、かつてミュージシャンとしてコンゴで活動していた〈Los Barbados〉の店主、上川大助さん。必ずご飯と一緒に食べるのは、日本と同じ。トマトの酸味とタマネギやピーナッツバターの甘味、コクが織り成す滋味を、ここでは西アフリカの炊き込みご飯、ジョロフライスと。辛さアップは、自家製チリペースト“ピリピリ”で。
香港の香港チキンカレーライス
香港ブレンドのカレーパウダーが決め手の中華風カレーライス
「香港の人は皆、このカレーライスが大好き。だから、紹介できてほんとにうれしい」。ようやく日の目を見たかとばかりに喜ぶ、〈贊記茶餐廳〉のメイさん。構造的には日本のカツカレーに近いが、その味は「全然違います!」。ご飯(日本米)の横に、皮ごとパリパリに焼いた鶏肉がドーンと1枚。そこにかかるのは、アニスの風味と辛味が効いた中華テイストのカレーソース。
味の決め手は、「香港のカレーは、これなしでは語れない」というメイド・イン・香港のカレーパウダー。屋台の味、「カレーフィッシュボール」のソースにも、これを使うという。中印日が合体したかのようなこのカレーライス、濃厚に見えるソースも意外にあっさりしていて、完食必至。