0円で堪能!東京のパブリックアート

東京には0円で学べるカルチャーがたくさんある。アート、演劇、デザイン、歴史をざっと4億年前から現在まで。要は学ぶ意欲さえあれば、様々な分野のカルチャーが扉を開いて待っているのだ!いざ、街の学舎へ。

初出:BRUTUS No.919「東京の正解」(2020年7月1日号)

Photo: Kaori Oouchi / Text&edit: Keiko Kamijo

街を歩いているとふと遭遇するパブリックアート。屋外ならではのダイナミックな彫刻作品を見に行ってみよう。

東京ガーデンテラス紀尾井町の名和晃平《White Deer》

真っ白い鹿の彫刻は、彫刻家の名和晃平によるもの。彼は代表作とも言える無数の透明の球体(セル)で表面が覆われた彫刻「PixCell」シリーズをはじめとして鹿のモチーフをたびたび用いている。鹿は古くから神の使いとして尊ばれてきた存在である。

《White Deer》は、鹿の剥製を3Dスキャンしたデータから制作された高さ6mにも及ぶ彫刻である。天に向けて螺旋を描くようなフォルムで、鹿は大空を仰いでいる。背景のオフィスビルとのコントラストも美しい。

名和晃平《White Deer

六本木ヒルズ ロボロボ園のチェ・ジョンファ《ロボロボロボ》

六本木ヒルズを抜けてさくら坂に出ると、木々の中からカラフルなトーテムポールのようなものが見えてくる。チェ・ジョンファによる44体のロボットから作られているオブジェ《ロボロボロボ》だ。

彼は、現代アートの第一線で活躍しながらも、アートは生活に寄り添うべきであり、誰もがアーティストになり得ると言い、彼の考え方が詰まったのがこの公園である。園にはオブジェのほかにも、すべり台や馬乗りになって遊ぶ遊具など、現代アート作品で実際に遊ぶことができる。

チェ・ジョンファ《ロボロボロボ》

ワテラス神田淡路町の鴻池朋子《ワイルドシングス−地形の魔力》

巨大な彫刻、動物の皮に描くドローイングなどでモチーフとして描かれるのは、人間と動物、生者と死者、この世とあの世といった境界を超えた壮大な神話。美術家の鴻池朋子の作品は、見る者の想像力を未知の異世界へと連れ出してくれる。

御茶ノ水駅から程近い商業施設ワテラスの地面からニョキッと生えた2つの羽もそうだ。高さ6mに及ぶ羽の持ち主だからきっと地中に埋まった体は途方もない大きさのはずだ。目に見えない部分を想像し、子供の頃のワクワク感が蘇ってくる。

鴻池朋子《ワイルドシングス‒地形の魔力》