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〈RHYMESTER〉宇多丸のユーミンプレイリスト。“日本作詞史上最高峰のストーリーテラー”を象徴する曲

いわば選曲のプロであるラジオDJたちは、ユーミンの楽曲のユニークな聴きどころを知っているはず。〈RHYMESTER〉ラッパー・宇多丸さんに、オススメの3曲を選んでもらいました。

photo: Kazuharu Igarashi / text&edit: Emi Fukushima

1.「ノーサイド」

松任谷さんの歌詞に一貫して漂うのは、無常感。一見華やかな時代を代表する音楽に思われがちですが、どの曲も、時は移ろい、輝かしい青春もいずれ過ぎ去ることを暗に示していて。どこか「死」の匂いがするところに最高峰のすごみがあると思っています。その諦観を象徴するのがあるラグビー選手の物悲しい瞬間を描いた「ノーサイド」。スローモーションで放ったボールがゴールから外れた様子、人々が競技場から立ち去るさまなど、聴いた瞬間に情景が目に浮ぶところが見事です。

ノーサイド
1984年リリースの16枚目のオリジナルアルバム『NO SIDE』に収録された楽曲。ラグビーの試合終了の情景を描いてる。

2.「DESTINY」

失恋相手への未練を歌った「DESTINY」は、最後の数行に小説のようなオチが。その構成に鳥肌が立つと同時に、相手にとらわれている状態こそが「詰んで」いるのだと悟るそのオチそのものにも諦観が現れています。

DESTINY
1979年発売の8枚目のオリジナルアルバム『悲しいほどお天気』収録曲。88年〜ドラマ『季節はずれの海岸物語』主題歌に起用された。

3.「ダイアモンドダストが消えぬまに」

松任谷さんの作詞の真髄が詰まっている「ダイアモンドダストが消えぬまに」。幸せな恋人同士の様子を描いた前半から一転、後半では一人のクリスマスを描くという、時間経過を示す大胆な2部構成の妙が光ります。また、きらびやかな時間を歌っているはずの前半にも“バブル”の儚さと不吉さが透けて見える。ポップさに隠して本質を歌うとことに痺れますね。

ダイアモンドダストが消えぬまに
1987年発売の19枚目のオリジナルアルバムの表題曲。88年に三菱自動車「新型ミラージュ」のCMソングに起用された。
宇多丸
〈RHYMESTER〉の楽曲「フラッシュバック、夏。」はユーミンの作詞作曲に影響を受けた。