どう使うかは持ち帰ってからゆっくり考えればいい
錆びた鉄製の花器
紙の裁断所だった古い建物を改装し神楽坂の住宅地で花屋〈小路苑〉を営む吉田耕治さん。骨董に目覚めたのは、雑貨ブランドに勤めていた20代半ば。商品のデザインソースとしてアンティーク雑貨に触れるうちに、古いものへ惹かれていったという。
「錆びて、ペンキが剥げた、この質感が好きなんです。店の棚や机も似たようなものばかり。年代や国は気になりません」
左端、蘭を植えた壺はベルギーの、シルバーのポットはパリの蚤の市で見つけたもの。日本で探す時は、骨董市を覗くか、西荻窪の〈魯山〉に行くという。
「赤い鉄製の容器は〈魯山〉で出会いました。器に紛れて、面白い骨董がポツポツと置いてあるんです。背の高い筒形のものは富岡八幡宮の骨董市で。いずれも花器として使っています」
骨董探しのポイントは、先に買うものを決めないことだそう。
「例えば、花瓶を探そうと思って市に出かけたりはしないです。散歩気分で骨董市を歩いていると、面白いものが目に留まる。値段を聞いて納得すれば、どう使うかは考えずに買ってきます。まぁ、花屋なので花を生けることは無意識に頭にあるかもしれないけれど、持ち帰ってから、さて、どう使う? と考える。それもまた楽しみなんです」