“何者”になる必要はない
存在を肯定してくれることば
メルヘンの国に住むコジコジは、動物なのか人なのか、性別さえも謎。住む家もなく、何の役に立っているかもわからない。特別な肩書は与えられず、ただこの世界に存在しているだけのキャラクターだ。「コジコジはどんな時もコジコジ」だという真理を突いたセリフはそれを物語っている。
よく考えてみれば私たちも「何者」かである必要などなく、ただ自分として存在しているだけでいいはず。困る、焦る、怒るといった負の感情を持たないコジコジのピュアな発言は、読者の凝り固まった固定観念を揺さぶり、やさしさへと導いてくれる。
文・綿貫大介