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ニッポン国内で世界のデザートを巡る!ワールド・アイスツアー

世界にはいろいろな逸話を持つローカルアイスがある。ブームになったタイやシチリアの名物から、ニュージーランドやインドのアイスまで。同じ氷点下の世界でも、まるで違う食感や口溶けが体験できる。日本国内で食べられる店とそのアイスデザートを紹介します。

illustration: Shinji Abe(karera) / text: Yuko Saito

偶然から生まれた日本が誇るフレーバー

JAPAN:小倉アイス

小豆の粒あんを混ぜて作るアイスの元祖は東京・湯島にあった。1915年、当時氷店を営んでいた〈みつばち〉の創業者が、残った氷あずきの種をアイスクリームの桶に保存しておいたことから誕生。今も乳製品は加えず、小豆、水、砂糖、塩のみで作られている。ちなみに最中種は、明治初期にウエハースの代わりに飾ったのが始まりという説あり。

元祖 小倉アイス(モナカ付き)

クルクル巻かれる工程も楽しい屋台生まれ

THAILAND:ロールアイス

マイナス30℃のプレートに生地を薄く延ばし、ヘラでクルクルと丸めてカップに詰めた、タイの屋台が発祥とされるアイス。これがNYに渡り、トッピングやソースがカスタマイズできるスタイルで大ヒット。そのNY流をいち早く日本に紹介した専門店では、ベース、そこに混ぜるミックスイン、トッピング、ソースが多彩でビジュアルもポップ。

ロールアイス チョコレート ミント ジャングル

カリッとした食感とほろ苦さがクセになる!

NEW ZEALAND:ホーキーポーキー

ニュージーランドでホーキーポーキーとは、かるめ焼きのような食感のトフィのこと。これをバニラに混ぜたアイスが1950年代に誕生、今や定番に。日本では馴染みが薄いこのフレーバーが楽しめる、貴重なジェラテリアが昨秋オープン。留学中にその味にハマった店主が、後味のいいバニラに自家製のホーキーポーキーをブレンドして作っている。

ホーキーポーキー

スパイスが香るアイスをパフェスタイルで

INDIA:クルフィ

カルダモンやサフランなどで風味づけした牛乳を煮詰め、細長い型で冷やした濃厚なアイス。それが、16世紀にムガル帝国で生まれたとされるクルフィ。インドスイーツ専門店には、これを使ったファールーダと呼ばれるインド亜大陸のパフェ的デザートがある。クルフィにデンプンで作る細麺セヴィアンがのり、ローズシロップ、ナッツがかかる。

ファールーダ クルフィ

サレップ粉を使った“のび~る”ご当地アイス

TURKEY:ドンドルマ

トルコ南東部カフラマンマラシュ県から広がったとされる“のび~る”アイス。のびる秘密は、この地で採れる植物の球根から作られたサレップ粉。そこに乳を加えて練って生まれたもちもち食感、粘度こそがドンドルマの醍醐味。そのご当地で1862年から続く老舗の4代目ギュネイさんが、生乳から手がけ、伝統のレシピで作る本物が愛知に。

ドンドルマ ミルク

戦争で名前が変わったパリのカフェメニュー

FRANCE:リエジョワ

元はカフェ・ヴィエノワという名の、コーヒーにアイスや生クリームを重ねたウィーン風デザート。それが第一次大戦時、ドイツ軍の侵攻を遅らせたリエージュ軍を称えて、この名前に。フランス王道のメニューが並ぶ〈ヴィロン〉には、4種が揃う。ショコラは、カカオ分の異なる2種のチョコをアイスやソースに使用し、生クリームもたっぷり。

ショコラ・リエジョワ

バナナ1本分とアイスのボリューム満点コラボ

UNITED STATES:バナナスプリット

1904年、ペンシルヴェニア州のソーダ・ファウンテンで生まれたとされるデザートで、縦半分にカットした1本分のバナナとアイスなどがボート形の器にのる。これを、前身の東京ヒルトンホテル時代から作り続けているのが、〈ORIGAMI〉。一時姿を消したものの復活し、今や名物メニューに。素材は進化しているが、姿形は昔のまま。

バナナスプリット

全土で親しまれる生クリーム主体のドルチェ

ITALY:セミフレッド

生クリームにメレンゲなどを混ぜ、半分凍った状態で提供されるドルチェ。「ナッツやフルーツなど、その土地の名物などを混ぜることが多く、全土で作られています」と、シチリア出身の店主、ニーノ・レンティーニさん。こちらでは、イタリアンメレンゲを加えて、ふわっとした食感に仕上げており、混ぜる素材やソースはその時々で替えている。

セミフレッド

目の前で焼いて仕上げるアイスデザート

UNITED STATES:ベイクドアラスカ

アイスの周りにスポンジを巻き、メレンゲで覆って焼き目をつけた、NYの老舗レストランが名づけたとされるデザート。目の前でフランベするサービスが人気で、日本でも1980年代にホテルなどで流行。これを82年、洋菓子店では珍しく、取り入れたのが〈京都北山マールブランシュ〉。創業40周年を機に、昔ながらのワゴンサービスで復活した。

燃える氷山 ベイクドアラスカ

温かいパンにアイスをサンドしたシチリアの朝ご飯

ITALY:ブリオッシュ・コン・ジェラート

現地で“tuppo”と呼ばれる、帽子をかぶったような形のほんのり甘いブリオッシュに、ジェラートをたっぷり挟んで楽しむシチリアのおやつであり、朝ご飯。その専門店〈ブリジェラ〉では、卵とバターの風味豊かな自家製ブリオッシュを2種スタンバイ。28種のジェラートからチョイスできる。パンに溶けたアイスが染みたところが美味。

ブリオッシュ コン ジェラート フルーツゴロゴロヨーグルディーノ