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岡山〈ドメーヌ・テッタ〉山の奥のワイナリーから、世界を射程に発信が始まった

この10年ほど、全国で次々と新しいワイナリーが誕生し、世界に通用するワイン産地として可能性を見せ始めたのが日本。新世代の造り手たちは、ブドウ栽培には難しい日本の気候条件とも折り合いをつけつつ、独自のワインを造り始めている。ナチュラルワインの大きな河を遡る旅は、いよいよ水源地となる「生産者」のもとへ。

photo: Noriko Kidera / text: Michiko Watanabe

高橋竜太
壁には、ネオンのモダンアートが飾られている。左が菅野さん、右が高橋さん。お互いの信頼で成り立つ2人。

地下のセラーは、チリ一つないほど掃除が行き届き、樽を支える台には下の樽が傷つかないよう、1枚スポンジシートがかませてある。この気配り。菅野さんが大切にしているのは2人の恩師と社長・高橋さんの言葉だ。恩師とは山梨〈ボー・ペイサージュ〉の岡本英史さんと、前任の責任者、片寄広朗さんだ。

「2人からは、仕事への姿勢、ワインとの向き合い方、職人としてどうあるべきかを教わりました」。岡本さんのところを卒業したあと、いったんワインから離れ、栃木でトマトの栽培に従事した。離れたにもかかわらず、離れられず、修行僧のように自問自答しながら、畑を借りて一人ブドウを育てた。「習ったことを忘れたくなかったから」。そして〈テッタ〉へ。

「進む方向は見えている。どうなりたいかも明確。でも、間の過程に、まだ迷いがあるんです」。その迷いこそ、伸びしろだ。どれだけ成長するのか楽しみである。

新体制で、ますますパワーアップ。世界へ届く一本へ

右から、「2020シャルドネ マセレ」、シャルドネ100%。「2021シャルドネ ペルラン」、シャルドネ92%・その他10品種8%。「2020 カベルネフラン・オトンヌ」、カベルネフラン100%。「2020 マスカット・ベーリーA」
右から、「2020シャルドネ マセレ」4,400円。シャルドネ100%。「2021シャルドネ ペルラン」3,850円。シャルドネ92%・その他10品種8%。「2020 カベルネフラン・オトンヌ」4,400円。カベルネフラン100%。「2020 マスカット・ベーリーA」3,850円。マスカット・ベーリーA99%、ベーリーアリカント1%。どれもエチケットも魅力的。菅野さんが手がける新しいキュヴェも今後、続々登場する予定。

「やるからには高みを目指したい」。2人共通の思いである。「最初、インスタのDMでNYからオファーが来たんです。社長は何かの間違いだろうと取り合わなかったけど、よく見てくださいって」と菅野さん。

このNYとの取引が成功し、オランダ、ドイツ、デンマーク、UK……と相手先が増加中。「いつかは海外と考えていたけれど、こんなに早くとは。新しいモチベーションになってます」と高橋さん。「確かに辺鄙な山奥ですが、ぜひ来ていただきたい」。見晴らしのいいカフェもあって、試飲や見学も可能。所在地ほか、詳しくはサイトやSNSで。