地下のセラーは、チリ一つないほど掃除が行き届き、樽を支える台には下の樽が傷つかないよう、1枚スポンジシートがかませてある。この気配り。菅野さんが大切にしているのは2人の恩師と社長・高橋さんの言葉だ。恩師とは山梨〈ボー・ペイサージュ〉の岡本英史さんと、前任の責任者、片寄広朗さんだ。
「2人からは、仕事への姿勢、ワインとの向き合い方、職人としてどうあるべきかを教わりました」。岡本さんのところを卒業したあと、いったんワインから離れ、栃木でトマトの栽培に従事した。離れたにもかかわらず、離れられず、修行僧のように自問自答しながら、畑を借りて一人ブドウを育てた。「習ったことを忘れたくなかったから」。そして〈テッタ〉へ。
「進む方向は見えている。どうなりたいかも明確。でも、間の過程に、まだ迷いがあるんです」。その迷いこそ、伸びしろだ。どれだけ成長するのか楽しみである。
新体制で、ますますパワーアップ。世界へ届く一本へ
「やるからには高みを目指したい」。2人共通の思いである。「最初、インスタのDMでNYからオファーが来たんです。社長は何かの間違いだろうと取り合わなかったけど、よく見てくださいって」と菅野さん。
このNYとの取引が成功し、オランダ、ドイツ、デンマーク、UK……と相手先が増加中。「いつかは海外と考えていたけれど、こんなに早くとは。新しいモチベーションになってます」と高橋さん。「確かに辺鄙な山奥ですが、ぜひ来ていただきたい」。見晴らしのいいカフェもあって、試飲や見学も可能。所在地ほか、詳しくはサイトやSNSで。