週末の酒がうまい、BRUTUSの聞くレシピ Vol.34「冬の夜食、オニオングラタンスープとウイスキーのお湯割り」

最近、周りに料理上手な友達が増えてきた。どこの料理人から教わったのか、ちょっとしたひと手間で、ゲストを喜ばせたりして、なんだか羨ましい。自慢の一品をサラッと作れるスキルがあれば、週末の酒はもっとおいしくなるはずだ。気負わず簡単に作れる、とっておきのレシピを教えてくれるのは、料理家で〈and recipe〉主宰の山田英季さん。さて、今回のメニューは……。前回の「生ハムとゆずこしょうのそばとシャンパンで年越し」も読む。

photo & text & recipe: Hidesue Yamada

連載一覧へ

40歳を過ぎてから、休日をどう過ごすかによって、翌週のリズムが変わるような気がしている。
友人や家族と過ごすのはもちろん楽しいし、大切な時間だ。

でも時には、夜は一人、読書や映画、ただただ物思いにふけるなんてことをするのも休日の過ごし方としては最高である。

一人だけの夜の時間を考えてみると、日中に世の中の全体を照らしていた照明が、徐々にスポットライトに変わり、光の外の世界を気にせずに、どんどんと中心の光に吸い込まれていくようなイメージがある。

心も体もリラックスしたこの状態が、僕は好きである。

そんな夜は長い。だからこそ、お供が必要なのである。今回は、この心地よい時間にピッタリな「冬の夜食、オニオングラタンスープとウイスキーのお湯割り」を作ろうと思う。

ポッドキャストで作り方を聞く

まずは、玉ねぎとにんにくをみじん切りにする。鶏肉は、小さめに切る。

鍋にバターを温め、玉ねぎがキツネ色になるまで弱火でじっくり炒める。しっかり炒めることで、スープにコクとうま味が出るのでここはサボらない。

狐色の玉ねぎ
根気強く、色が変わるまで弱火で炒め続ける。いわばおいしい料理を作るための儀式。お酒を飲みながらだったらこの時間もまた楽しい。

次に鶏肉とにんにくを入れて、表面の色が白っぽく変わるまで炒め、白ワインを加える。

鍋底に付いた玉ねぎのうま味をこそげとるように、木べらでしっかり混ぜる。

軽く煮詰めて、白ワインのアルコールを飛ばしたら、水、塩、タイム、ローリエを入れて、途中、アクを取りながら弱火で10分煮込む。

耐熱容器にスープを注ぎ、バゲットをのせたら、やや塩分の高いグリュイエールチーズをたっぷり削りのせる。ちょっと塩味が強いくらいがお酒に合うのだ。
あとは、オーブントースターで焼き色がつくまで焼いて、仕上げにタイムを飾りに乗せれば出来上がり。

香ばしく焼けたチーズとバゲットをスプーンで崩す、そこから立ち上がる鶏肉と玉ねぎの香りを、いっきに口に放り込む。
「旨い!」
ウイスキーのお湯割りをひとくち。
「最高のペアだな……」

こんなひとり言をつぶやきながら、「スープを食べ終わるまで、ウイスキーを飲み終えるまで」と安い誓いを立てて、ただただ冬の夜に落ちていくのである。

冬の夜食、オニオングラタンスープとウイスキーのお湯割り

オニオングラタンスープとウィスキーのお湯割

材料 2人分
・鶏もも肉………………100g
・玉ねぎ………………1個
・にんにく……………1かけ
・バター………………20g
・タイム………………1枝
・水……………………600㎖
・白ワイン……………大さじ4
・ローリエ……………1枚
・塩……………………小さじ1
・バゲット……………4枚
・グリュイエールチーズ…50g

作り方
①玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。鶏肉は小さめのひとくち大に切る。
②鍋にバターを温め、玉ねぎがキツネ色になるまで弱火でじっくりと炒める。
③②に鶏肉とにんにくを加えて色が変わったら、白ワインを加え、アルコールを飛ばす。
④水、塩、タイム、ローリエを加えてアクを取りながら弱火で10分煮込む。
⑤耐熱容器に④を入れ、バゲットと削ったチーズを乗せたら、トースターでチーズが溶けて色づくまで焼き、タイムをのせる。

オールドパー シルバー
オールドパー シルバー 750ml
時代を超えて愛され続けるブレンデッドウイスキーの代表格〈オールドパー〉。どんなお料理にも合わせすいバランスの良さが特徴で、オンザロックはもちろん、水割り、ハイボール、ストレートでも楽しめる。今回は、70~80度のお湯「3」に対して、「1」の割合でお酒を後から注ぐのをオススメしたい。3,294円(ディアジオ

連載一覧へ