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食べる

フードライター・渡辺P紀子が麺で旅をする

旅に出たい。そう思っても、なかなか実現できないのが世の常。ならば、旅の思い出を取り寄せるのはいかが?食に通じた渡辺P紀子さんが訪れた先で出会い、感動し、取り寄せた麺の記録。荷物とともに、現地の風、そして思い出がやってくる。

edit: Akira Ikeda

麺旅は細く長く
縷縷(るる)めんめん、
どこまでも

文・渡辺P紀子

麺好きである。だから、旅に出ても麺をすする。日本はもちろん、海外でもつるつる。文化麺類学を極めたい。旅先の昼ご飯は麺中心。思い出してもよだれが出そうな麺は取り寄せる。技術の発達で、店の味に近い状態で味わえるのが嬉しい。

例えば、北海道。必食の一つがラーメンだ。北海道は夏より冬が好き。雪の中でしばし並んで、中に入るとふわっと暖かい空気に包まれる、あの幸福感がたまらない。〈Japanese Ramen Noodle Lab Q〉の塩らぁ麺は、淡麗と称される美しさに惚れた。少々かさばるが、そのスープがまんま届くのがありがたい。

盛岡は、友人姉妹のソウルフード、コッペパンも有名だが、麺どころでもある。石割桜が咲く頃、じゃじゃ麺と冷麺を食べに行った。〈ぴょんぴょん舎〉は東京でも有名で、夏になるとスーパーで買っては食べるのだが、キムチは入っているものの、ほかの具材が入ってないのが残念だと思っていた。今回、全部入り的な取り寄せを発見。小躍りした。また、本店で温麺(うーめん)を食べて、麺の何ともいえない喉越しに感動したのだが、これも取り寄せ可だ、バンザイ!

本店仕様塩らぁ麺

盛岡冷麺

今年春に琵琶湖周辺を巡る美食ツアーを決行した。滋賀はおいしいものだらけなのだが、目玉は肉だ。一口に肉といっても、クマもあれば牛もイノシシもある。特に牛肉で目指す店があった。名を〈サカエヤ〉という。ショーケースに並ぶ牛肉をあれこれ注文したあと、会計を待つ間にふと冷凍庫を見たら「ホルそば」なるものがあった。ホルモン焼きそばセットである。これ、ホルモンが苦手な人にも勧めたい。ぶっとい麺が旨味を吸ってクセになる。

京都・祇園、巽橋のたもとにとっても上品なうどんの店があった。するりするりとおなかに収まる。街歩きのお昼にちょうどよかった。今、その〈萬樹(まんき)〉の店舗はないが通販あり。麺も旨いがだしのおいしさよ。滋味深いとはこういうことをいうのか。

ホルそば

刻みきつねそば

沖縄そばはぽそっとしてあまり好きではないと思っていたのだが、〈てぃあんだー〉の麺は手打ち。つるんつるんと口あたりがいい。やっぱり麺はこうでないと。

〆に製麺店を一軒。福島・奥会津にある〈奈良屋〉。中華麺もいいし、蕎麦もうどんもよくて、毎度お世話になっている。食卓の麺旅、毎日でも行きたい。

沖縄そば

手打ち式生そば