デザイナーを目指して
古着から学ぶ
ファッションデザイナーになる夢を諦め切れず、一度就職したアパレル会社を退社し、現在はファッションの専門学校に通う渡邉基吉さん。彼が作る服に取り入れるのは、主に80年代のメンズ古着のディテールだ。
「最初は、江戸時代とか古い和装を勉強していました。徐々に現代に近づいてきて、自分の興味があるものが80年代のものだと気づきました」
彼がデザインするのはレディースの服。最初にするのはビジュアル探し。そして色のイメージを決め、素材、トワルを使った立体研究、デザイン画の制作という工程を順に行う。
その過程であえてメンズ古着のディテールや形をミックスしていくのが彼なりのやり方。古着のシャツやスエットを部分的に解体し、使えそうなパターンやディテールを探し出す。
「コム デ ギャルソンやマルジェラの古着は特に参考になりますね。それらが年代ごとに揃う町田の〈feed〉や原宿の〈カメレオン〉によく行きます。今はウェブの画像検索でも探し出せますが、やっぱり実物に触れてみたいですからね」
古着から着想を得るのはファッションデザインの王道だが、新しい感性と古いものをバランス良くミックスできるかは、デザイナーの腕次第。
「すべてが実験段階ですが、古着の面白いディテールを探したり、シルエットを見つけたりする作業は新鮮なんです」と熱く語る渡邉さん。卒業後、夢のファッションデザイナーになる道を目指して、彼は今日も古着の研究に勤しんでいる。