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信頼できる目利きがいる器の店。表参道〈うつわ楓〉

旅の目的地になる、魅力的な器の店が増えている。BRUTUSが注目したのは信頼のおける目利きが営み、店頭に立つ現代器作家のギャラリー&ショップ。彼らは、今どんな80〜90年代生まれの新世代作家に注目しているのか?器のこと、作家のことを聞いてみよう。

photo: Yuko Okoso / text: Hikari Torisawa / edit: Ai Sakamoto

青山で25年。日常使いの器を求め作家やスタイリストも足繁く通う

1998年夏に南青山で開業。2021年春に移転した店舗から、2024年に表参道へ移転した〈うつわ楓〉。場所や広さが変わっても、店主・島田洋子さんの美意識と気配りが充満する空間の心地よさは変わらない。

取り揃える器もまたしかり。瑠璃釉(るりゆう)が鮮やかな臼田けい子、リズミカルな稜線のしのぎの器を作る砂田政美、灰釉や鉄釉の表情も美しい土ものの長谷川奈津、手吹きのレースグラスが涼やかなアキノヨーコ、モダンでシンプルな漆器の小林慎二など、四半世紀にも届こうかという長い付き合いの作家たちの元を、たびたび訪ねて器を選ぶ。

「お客様の、また欲しい、買い足したい、という願いにも応えたい」という思いから、定番とも呼べるアイテムが多く並ぶのもこの店の特徴だ。

取引のある40名ほどの作家のうち、最若手は1991年生まれ、神奈川県小田原市で作陶する上田浩一。「学生の頃からポットを作り続けている作家です。本焼き後に、釉薬の代わりに漆を塗り低温で焼き上げた小ぶりなポットは、使い勝手のよさも魅力的ですよ」。

東京〈うつわ楓〉オーナー・島田洋子
畳敷きの小上がりに、所狭しと器が並ぶ。