信楽から伝える現代の確かなもの作り
田んぼの間を走る線路を眺めるようにして立つ木造平屋の古い建物。牧歌的な風景からは想像がつかないほど、〈NOTA_SHOP(ノタショップ)〉の店内は斬新かつ迫力いっぱいのディスプレイと独創性ある作品で溢れている。
元はデザインの仕事をしていたオーナーの加藤駿介さんと佳世子さん。2008年に駿介さんの親戚が営んでいた製陶所を買い取り、3年をかけて自身で改修した。
「工場も併設しているので、自分たちでデザインから製造も担当。ショップでは、信楽の作家の焼き物のほか、ガラスや木工、アート、服も販売。カテゴリーを定めず、自分たちが気になるもの、好きなものを率直に追い求めています」
1984年生まれの古谷宣幸(ふるたに・のりゆき)も信楽で活躍する作家であり、駿介さんの中学時代の同級生。どんな献立をのせるかを考えて作陶していることから、とにかく使い勝手がよく、料理が映えると加藤さんは太鼓判を捺(お)す。
「見た目の美しさやスタイルだけでなく、作家の高い意識としっかりとした手業があってこそ成立する美しさがある。古谷さんの作品は手で触れた時に確かなものだと実感できる器です」。