風景と一体になる暮らしの道具たち
緑豊かな美しい庭を望む鎌倉の古民家で、ギャラリー〈夏椿(なつつばき)〉を営む恵藤文(えとう・あや)さん。元は表参道のインテリアショップに勤務。その後、二子玉川の器ショップを経て、2009年に自身のギャラリーを開いた。
「家と自然、そして生活の道具が一体となって、日常の美しい風景を作ることを提案できれば……」。そう考えて選んだのは、世田谷・上町の古い庭付き一軒家だった。9年の歳月を経た2018年、建物の取り壊しのため、現在の場所に移転。慣れ親しんだ景色や雰囲気を受け継ぎたいと、以前の家で使っていた建具や門を鎌倉に移築した。
質感と使い勝手のよい国内作家の作品のセレクトを基本としつつも、ビビッドな色合いや特徴のあるテクスチャーを定番モノと合わせると景色に変化が生まれると、近年は色彩豊かで個性溢れる作品にも目を向ける。
特に気に入っているのが、1990年生まれ、岐阜県多治見市で活動する向井真璃子のカラフルな器だ。「少しざらつきのある手触りと鮮やかな色をちりばめたスープボウルやカレー皿。発想が自由で、見るだけで心が軽やかになります」。