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アメリカ、タイ、イタリアン。東京でも多様化する、ヴィーガンフードの選択肢

ウサギじゃあるまいし、野菜ばっかり食べられないよ、なんて印象は、今すぐ捨てたほうがいい。バラエティに富んだおいしい皿の数々がいざなう、ヴィーガンフードの世界。

photo: Tomo Ishiwatari / text: Haruka Koishihara

肉、魚、卵、乳製品などの動物性食材を一切摂らない、厳格な完全菜食主義「ヴィーガン」。

東京オリンピックの開催が決まった2013年以降、世界各国から日本を訪れる外国人の多様な食の嗜好に応えるべく、ヴィーガンフード専門店やヴィーガンに対応するメニューを用意する店は徐々に定着してきた。

また日本でも、環境問題への関心の高まりや健康を意識した結果として、ヴィーガンをライフスタイルとする人は増加中だ。

そうした動向を受けて、ルールにのっとりながらも“おいしいヴィーガンフード”を楽しめる店は、今やジャンルも多彩。カジュアルフードの筆頭格であるハンバーガーに、フォトジェニックなタイ料理、シチリアの郷土料理etc.と飽きさせない。

〈スペリオリティーバーガー〉のスペリオリティーバーガー

ヴィーガンフードながら、ジャンク感も味わえる。

〈スペリオリティーバーガー〉のスペリオリティーバーガー
「スペリオリティバーガー」(ポテト、ソフトドリンク付き)1,400円。

2015年にイースト・ヴィレッジにオープンすると、ヴィーガンらしからぬパンチの効いた味で人気店に。2019年に日本上陸し、2021年には神宮前から下北沢に移転した。

シグネチャーの「スペリオリティーバーガー」(ポテト、ソフトドリンク付き 1,400円)は、キヌアやひよこ豆で作ったパティに、カシューナッツベースのソースやセミドライトマト、ピクルスなどを添えて、ボリュームも食べごたえ十分。スパイスやハーブを駆使した味わいもインパクト大だ。このほか、豆腐や湯葉を使ったバーガーも。

〈チョンプー〉のヴィーガンカオヤム

目にも美しく、心華やぐライスサラダ。

〈チョンプー〉のヴィーガンカオヤム
「ヴィーガンカオヤム」1,700円。

料理家・森枝幹さんがプロデュースするメニューは、フレッシュハーブをふんだんに使い、とても軽やか。

「ヴィーガンカオヤム」(1,700円)は、プラントベースの「オムニポーク」を腐乳のソースで肉味噌仕立てに。バタフライピーティーで炊いた青いご飯の周りには赤タマネギ、インゲン、ミョウガなどの旬の香味野菜といった彩り豊かな具材が10種類以上も。食べるのがもったいなく思える凝った盛り付けだが、「全部を混ぜて食べるのがおすすめ」と森枝さん。

ほかにも、生春巻きやドライカレーなどヴィーガン対応可能なメニューが。

〈リストランテ・ダ・ニーノ〉のブロンテ産ピスタチオとズッキーニの有機全粒粉パスタ

リッチな味わいの秘密はシチリアの特産品。

〈リストランテ・ダ・ニーノ〉のブロンテ産ピスタチオとズッキーニの有機全粒粉パスタ
「ブロンテ産ピスタチオとズッキーニの有機全粒粉パスタ」5,500円。

シチリア島トラパニ出身のシェフ、ニーノ・レンティーニさんが「故郷の味を広めたい」と2006年に開店。そこここに郷土品が飾られた雰囲気も相まって、在日イタリア人にも支持されている。

ヴィーガン仕様のパスタは、常時3種類が。「ブロンテ産ピスタチオとズッキーニの有機全粒粉パスタ」(5,500円)には、“緑のダイヤモンド”とも呼ばれる希少なブロンテ産のピスタチオをぜいたくに使用。高級品種ならではの特有の豊かなコクと甘みが特徴だ。ズッキーニの旨味も、味わいを増幅させている。