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クリエイティブディレクター・ルーカスB.B.の忘れられない味。静岡市〈シンプルズ〉のシーフード

「人生変わっちゃったかも」。そう思えるほどの食体験を持っている人は羨ましい。その味への再会を思い浮かべながら過ごす日常は、すでに十分幸福なはず。クリエイティブディレクター・ルーカスB.B.さんが旅先で出会った、特別でかけがえのない一皿。その思い出を存分に語ってもらった。

illustration: Hagie K / text: Mick Nomura (photopicnic) / edit: Ichico Enomoto

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口の中で旅をしている気分になる、魚三昧なコース

ハギーK イラスト

僕は今、2拠点生活で東京と静岡を行ったり来たり。静岡では、駿河湾の新鮮な魚が山ほど食べられるのがいつも楽しみ。〈シンプルズ〉は、伝説の魚屋〈サスエ前田魚店〉から魚を仕入れていて、それもこの店の価値の一つ。看板メニューは〈サスエ前田魚店〉による、水揚げ後の処理で究極の歯応えと旨味を実現した「もち旨鰹」のステーキ。

井上靖彦シェフの料理は、素材の味をきちんと生かしながらも、自分のクリエイションをちゃんと加えている。その塩梅が絶妙です。

静岡にはブラジル人がたくさん住んでいて、ブラジルの食材も手に入るんだけど、地元のそういう文化を取り入れているところもユニーク。コースでは魚がとにかくいっぱい出てきて、一皿一皿がおいしいだけじゃなくて、面白い。

初めて体験する味わいばかりだから、また魚?とは一度も思わない。甘味や辛味、(山椒の)痺れなど、さまざまな感覚が口の中に現れて、食べることで旅をしている気分に。シェフは料理はもちろん、旅も好きなんじゃないかな。

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