旅に出るたびに出会いたい 魅惑の甘いものたち
文・鶴見昂
旅に疲れたとき、身体を癒やしてくれるのはその土地の魅力的なスイーツだ。苦楽園にある〈good time pâtisserie〉の扉を開けると、そこはまるでフランス。目眩(めくるめ)くアルザス菓子のオンパレードに胸が高鳴った。大阪の〈チルコドーロ〉や京都の〈picaro eis〉では、素材を引き立てる独自のフレイバーのアイスクリームを介し、目を瞑って不思議な世界へ旅ができる。
滋賀の多賀大社の近く、田んぼの中にぽつんと佇む〈Toppen〉のカヌレは冷凍で届くにも関わらず、まるでさっきオーブンから出したかのようなガリッとした食感が新鮮。田んぼの中といえば、石川の〈TEATON〉も。グルテン・乳製品フリーで作られるお菓子は他にはないスタイリッシュさが魅力だ。
昔ながらの製法で作られる平戸の塩を塗した〈petit à petit〉の塩サブレは、その加減が絶妙で、ぐんぐん手が伸びてしまう。
旅先のお菓子は、食べる環境や旅の気分などがエンハンスしてやたらと美味しく感じることがある。旅の計画のお供にお菓子を取り寄せて、現地を想像しながら楽しんでもらえたら嬉しく思う。