〈静岡〉
温かいのと冷たいの。どちらも食べるのが藤枝流です。
藤枝市の南にある地域には、朝ラーメン(朝ラー)文化がある。
茶産地であり、早朝から働く関係者が仕事帰りに食べたのが始まりとか。その元祖が1919年創業の〈マルナカ〉だ。ここで供するのは、温かい中華そばと、冷やしの2種類。
カツオ節や昆布、煮豚用の豚モモ肉などで作る醤油ダレをお湯で割ったスープに、自家製のストレート中太麺が合う。温冷のレシピに大きな差はないが、食べてみると風味や喉越しの違いは明らか。2杯を食べ比べるのがオススメだ。
〈香川〉
“できたち”を味わうなら、朝8時までに出かけるべし。
讃岐うどんで知られる香川県でも珍しい、朝営業の製麺所。開店は6時30分。
釜揚げでなければ、お昼過ぎまで食べられるが、ゆで上がってすぐの“できたち”を味わいたければ8時(土・日・祝は9時)までに行く必要がある。
家族総出で午前3時から仕込むうどんは、コシとエッジのある中太麺。伊吹島産のいりこと釧路産の昆布、カツオ節でとっただしとの相性もいい。
一見、うどん屋らしからぬ店構えも特徴。勇気を持って入った先に、口福が待っている。
〈熊本〉
四川の辛味でシャキッと目が覚める、もちもち刀削麺。
朝6時。熊本市の住宅街に漂う、四川料理の刺激的な香り。なんでも「仕込みをするなら、いっそ開けてしまえ!」と、こんな営業時間になったとか。
店主・徐鵬さんは中国・四川省出身。こだわりは刀削麺で、その日の気温や湿度に合わせて調整した生地は、コシが強く、もちもちの食感。
10種類のメニューで味わうことができ、中でも人気は担々麺だ。故郷から取り寄せた唐辛子と山椒は目が覚める辛さ。その中にもタレや肉味噌の甘さがあり、朝から箸が止まらなくなる