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白山〈plateau books〉建築士が挑戦する、本と人が集まる場所作り

もともと異業種で働いていたものの好きが高じて店を開いたり、心から本を愛してやまない書店員がジャンルに特化した選書で勝負する店を始めたり。ここ数年、個性溢れる町の本屋が増えてきた。なかなか見つけられない貴重な古書からリトルプレス、そして店主が偏愛してやまない良書まで。新たな世界の扉を開いてくれる本に出会う冒険へ出てみよう。

Photo: Keisuke Fukamizu / Text: Hikari Torisawa

plateau books(白山/東京)

白山に、2019年3月、新しい本屋〈plateau books(プラトーブックス)〉がオープンした。本屋の空間作りを多く手がけてきたという建築士の中里聡さんが、自身の建築設計事務所〈東京建築PLUS〉に併設する形で始めたその店は、しかし併設というにはゆったり広々20坪。

建築、アート系が3分の1、さらに映画、文芸、人文系に絵本に雑誌など、1300冊ほどの本が置かれている。何冊もの本と目が合ってついつい手に取りたくなるのは、表紙を見せて陳列される本が多いからだろう。

選書を担当するのは編集者の出原日向子さん。「本はジャンルや著者ごとに分けるのではなくて、文脈を作るように並べています。本との偶然の出会いを楽しんでもらえたら」。毎日1冊ずつ、SNSで本を紹介しているスタッフの戸田亮さんによる文章は、印刷して本に貼り付けポップ代わりに。

文庫本が並ぶ一角を眺めていたら、ドゥルーズ&ガタリの『千のプラトー』を発見して、店名の由来を聞いてみる。「プラトーというのは平坦な場所という意味です。平坦な、変化のない時間にこそ本を読んで過ごしてほしいという思いを込めました」と中里さん。中央に置かれた大きなテーブルの席で、棚の前で、本を読み、コーヒーやお茶を飲んだりおやつを食べたり雑談したり。本好きも、本屋好きも、地域に暮らす人たちも、思い思いの時間を過ごすことができる、心地のよい空間だ。

東京 plateau books 店内
すべてがゆったりと配置され、深呼吸したくなるような開放感がある。