とんかつ檍(蒲田)
週に一度はとんかつを食べる自分にとって、〈檍〉のカタロースかつとの邂逅は衝撃だった。
革命には、多くの批判をはね返すビジョンや気概が不可欠というが、このとんかつにはそれを体現するのに充分なインパクトと論理性が備わっている。しっかりとした揚げ色の衣を纏った4㎝はあろう厚切り肉は、通常よりも幾分か薄くカットされ、箸で持つ度にぷるんっと震えるSPF豚ならではのピンク色の肉層には、溢れ出そうな肉汁が解き放たれる瞬間をいまかと待ち構えている。
このかつには塩のみ、キャベツには檸檬だけをぎゅっと搾って食すと、この革命の真価を余すことなく堪能できる。ぜひ先入観や能書きは捨て、直感に身を委ねながら皿に向かってもらいたい。そこにはきっと自身の野性を呼び覚ます刺激的な体験が待っているはずだ。