Talk

Talk

語る

デビュー40周年を迎えた原田知世さんの、これまでと、これから

14歳で芸能界入りして以来、俳優と歌手の両輪で表現を続けている原田知世さん。デビュー40周年を迎えた今年、記念のオリジナルアルバム『fruitful days』をリリース。「一つのことを続けているとどこかで誰かが見てくれていて、それが次に繋がって、新しい出会いが生まれる。そんなふうに日々を重ねて、気づいたらもう40年⁉みたいな感じです」と、軽やかに笑う。近年は、考え方も生き方もよりシンプルになってきたと語る彼女に、これまでの音楽活動、そして未来に向けた思いを話してもらった。

photo: Kenshu Shintsubo / text: Chisa Nishinoiri

一つ一つ積み重ねて、
気がついたら40年。

「まずファンの方にお返しをする年だな、と思っています」と、透明感のある柔らかな声で40周年を振り返ってくれた原田知世さん。

「音楽を続けてきた中でご縁の深い方々に参加してほしいし、世代の違う方とも新しいチャレンジをしたいし、そしてやっぱり皆さんに親しまれている曲もカバーしたい。懐古的になりすぎず、過去と今とこれからを感じてもらえる作品に仕上がっていると思います」

女優としてデビューし、清廉なヒロインを演じてきた少女時代から、清濁併せ呑む凜とした大人の女性へ。と同時に、90年代以降はより精力的に音楽活動にも取り組んできた。

「ターニングポイントというと最初は鈴木慶一さんとの出会いですし、トーレ・ヨハンソンさん、伊藤ゴローさんは私の音楽の中でとても大切な人たち」と語るように、彼らをプロデューサーに迎え、原田さんにとって音楽はかけがえのない存在になっていったという。

「音楽が自分の生活に近づいてきたというか、仕事なんだけれども、あまり気負わずにこれまで積み重ねてこられました。女優の仕事はいろんな現場に行っていろんな方と共に過ごして、刺激ももらうし緊張もして、完全燃焼して終わる。ある意味、一期一会。でも音楽は常に戻ってこられるというか、特にこの10年は、音楽がホームみたいな感じに変わってきているのを実感します。女優業だけだったら、ここまで長く続けてこられたかわかりません。一つの道を音楽で作ってきたことによって、自分の居場所があるのだと思います」

出会ってきた人たちへの感謝の思いや音楽への愛が溢れる原田さんの言葉が、芯が深いのに軽やかに響くのは、信頼できる仲間と積み重ねてきた時間と経験があるからだろう。

「この数年は、当たり前と思っていたことがそうじゃないって気づかされた日々でもありました。ちょっとしたハプニングも楽しめるぐらいの余裕もできて、こうあらねばならない、みたいな気負いもなく、今はいい意味で気持ちがすごくラク。来年の自分が想像できないくらいでもいいのかなって思っています」