深夜1時、ラジオにて。
深夜1時にひっそりとオープンする秘密のバー『TOKYO SPEAKEASY』に、番組のプロデュースを手がける秋元康が初来店。台本なしのガチトークに招待したのは、福山雅治だ。
さて今宵、ここだけでしか語れない、どんな話が飛び出すのか……。
秋元康
このバーね、来たかったんですよ。
福山雅治
作った人じゃなかったでしたっけ(笑)。
秋元
(笑)。噂で聞いてたんですよ。Clubhouseみたいなバーがあるって。なんか盗み聴きされてるらしいですよ、ここは。
福山
僕もたまに盗み聴きしてます、このバーを。
去年、この場所こそが実在する「SPEAKEASY」だって思うところに秋元さんをお連れしたんですよね。
秋元
僕もたまに盗み聴きしてます、このバーを。去年、この場所こそが実在する「SPEAKEASY」だって思うところに秋元さんをお連れしたんですよね。
福山
僕、秋元さんとお食事させていただくようになって、秋元さんは不良グループとも仲良しだし、生徒会長もできる人だと感じたんです。
秋元
そういうところ、あるかも。中学の時に悪のグループがいて、その仲間でありながら悪いヤツらにずっと勉強を教えてたタイプなんです。
乱闘になると、全く手を出せないだけなんだけれども、ラスボスあいつじゃね、みたいな。福山くんは武闘派なわけ?
福山
いいえ、小学生の頃は空手道場に行っていたんですけど、中学になって喧嘩の才能はないなと感じて。でも、男の中で一目置かれたいという思いからギターを始めたんです。
だから、音楽を始めたきっかけが“モテたいから”じゃなかったんです。
秋元
モテたいからじゃないの!?
福山
はい。モテてたんで(笑)。
秋元
(笑)。そういえば、いつか福山くんに、35歳の時何やってた?って聞いたら、「う〜ん、モテてました」って言われて、なんだよそれ、ってね。こういうことやってた、とかじゃないの?って。
福山
モテるのが仕事だと思ってたので(笑)。
秋元
僕はね、福山雅治という男を認めたというか、一番好きなのは、女より男の約束を取るってことがわかったから。モテてきた人生だから男より女を大切にする感じかと思ったらそうでもないんだよね。その漢気はどこから来るの?
福山
父親を見ていたからですかね。僕が10代の頃の父親の麻雀仲間には、医者も、漁船の船長も、自営業のかまぼこ屋さんも、日雇いの溶接の人も、バスの運転手さんもいる。
いろんなジャンルの人が、アキラさん!って家を訪ねてくる。仕事をしているようなしていないような酒飲みの父親だったんですけど、男友達に人気があるのがかっこいいなと思ったのが原点なのかなと。
秋元
男が男に人気があるのがかっこいいっていうのは、福山雅治に多大な影響を及ぼしていると思う。お父さんが亡くなった時にも仲間が来てくれたんだよね。
福山
はい。麻雀仲間の中でも特にヤンチャ系なオヤジが葬儀に来てくれて、泣きながら親父の棺桶に麻雀の最高点である役満の、九蓮宝燈の牌を並べてるんですよ。
「アキラさん、これだけはアガれんやったね」って。その姿を見て、父親はろくでもない人だと思っていたけど、こんなに良い友達がいるんだって。父親はいい人生を送ったんだなって思えたんですよね。それが17歳の時。
そういう人生の終わり方っていいなと僕も思ったのは大きいですね。話は飛ぶんですが、プロデューサー秋元さんをプロデュースする秋元さんっているんですか?
秋元
いない。いたらいいと思うけど、もうちょっとこういうふうにした方が好感度上がるなとか、そういうのはないんだよね。やっぱり基本的には裏方だから。それよりも自分の好奇心のままに動いちゃうかな。
福山
いろんなところで秋元さんってどんな人?って聞かれるんですけど、「超少年だよ」って言わせてもらっています。
主人公の女の子が結婚する時に、お父さんに感謝を伝えるって内容の歌詞を自分で書きながら泣いちゃってる俺がいる、って話をされてたじゃないですか。大好きなエピソードです。
秋元
JULEPSの「バトンタッチ」って曲だね。作詞家として書く時にも、プロデューサーとしてものを作る時にも、やっぱり自分が影響されてきたものがベースでしょ。
福山
もの作りにおいて誰が最初に感動しなければいけないかって、作ってる本人ですよね。それが少しずつ伝播していくというか。
僕らの仕事は、本人から始まって一番にそれを聴いてくれた人がドミノ倒しのように倒れていってオーディエンスに届くんだよね。本人やスタッフがいまいちですね、って言ってちゃ感動を呼ばないんだよね。
本音を吐露できる何かがラジオにはある。
秋元
俺はね、福山雅治の漢気と繊細さが好きなんだよね。家にあるリリー・フランキーさんと福山くんが選んでくれた年代モノのシングルモルトのウイスキーをみんなで飲もうって会があったんだけど、細かいの。
福山
秋元さんが最近ヴィンテージのシングルモルトにハマり始めて、僕はすごく嬉しいんです。
ヴィンテージモルトに関しては、そのモルトのベストな状態を体験していただきたくて。そのためにはまずコルクをちゃんと抜くところから楽しんでもらわないといけない。
リリーさんは古くて痩せたコルクをボトルの中に落として、後に濾過するって飲み方ですが、僕は意地でもコルクは中に落としたくないんですよ。
秋元
わかる。俺とかリリーさんは落とすタイプだわ。いいんじゃないの茶漉しで漉せば、って(笑)。
福山
いやいや、僕は嫌なんですよ(笑)。今回の特集、ラジオ好きなもので、ということで言うと、僕はラジオの仕事が長いので、ラジオがないと逆に本音が言えないんです。
秋元
僕もラジオに台本を送ったのがきっかけで放送作家になったから、ラジオが一番近い場所にありますね。原点っていうか……。
福山
両親や友人に対する思いや本音も、本来なら直接伝えたり、楽曲という作品に落とし込めばいいんですけど、ラジオじゃないと言えない。
だから、この間リリーさんの『スナック ラジオ』に出演させてもらった時に、秋元さんとご飯を食べながらリリーさんの幸せを願って今後我々で何ができるか話してたんですよ、っていうエピソードを伝えたら、叱られました。なんでそんなことラジオで言うの!って(笑)。でもなんか、そういう本音はラジオじゃないと言えなくて。
秋元
そうそう、リリーさんを幸せにしよう会議はよくするよね。
福山
面と向かって伝えるのは照れくさいんで、ラジオで言っちゃったんですよね。
秋元
俺と福山くんと映画監督の大根仁と3人で話してて、野田洋次郎から言わせましょうか、って言ってたんだよね。俺たちはリリーさん愛が強すぎて。洋次郎は若い分はっきり言えるって。
洋次郎もモテるのに男を選ぶのが素敵だよね。福山雅治、野田洋次郎は、彼女がいたとしても男を選ぶタイプ。俺は女を取るね。
福山
そうでしたっけ?(笑)
秋元
だって、そう言わないと、オチないでしょ?