Drink

隠し扉を開けると秘密の酒場が?高田馬場〈THE HISAKA〉で多彩なジンカクテルを

次の東京のバーシーンを担うのはどんな店?ちょっと意外なエリア「高田馬場」から発信する注目の新世代に迫る。

photo: Kenya Abe / text: Chisa Nishinoiri

POINT

1.“表”と“裏”の二面構成。
2.チケット制、パウチなど楽しみ方が豊富。
3.クラフトジン特化の創作カクテルが揃う。

ジン初心者から玄人まで魅了する技ありの1軒

蒸留酒の世界でクラフトジンが市民権を得て久しいけれど、「ジンといえば高田馬場のヒサカ」と、ジン好きの間で注目を集める店がある。2019年にオープンし、わずか4坪の極狭店舗ながら繁盛店となった〈バー・ヒサカ〉が、同じ高田馬場エリアに〈ザ・ヒサカ〉として装い新たに移転。

愛らしい犬のロゴが描かれた扉を開くと、クラフトジンを専門に扱う酒販店と角打ちスペースが広がる。国内外のジンが常時150種類以上揃い、角打ちで提供するのはそれぞれの個性を素直に味わえるジントニックまたはジンソーダという真っ向勝負。

しかしここはあくまで“表側”。本棚を装った隠し扉を開けると、店主の小倉広康さんが“裏側”と呼ぶ禁酒法時代の秘密酒場“スピークイージー”スタイルのメインバーが現れる。

「いいお酒はストレートやロックで飲むべき、カクテルにするなんてもったいない、と思われる方も多いようですが、ジンの生産者の方からは“カクテルで楽しんでほしい”という声が多いんですよね。なので、ここでは主にクラフトジンを使った、ほかでは味わえないカクテルを提供しています」と小倉さん。

例えば5種類のクラフトジンを使った「眠れる森のマティーニ」。各ボトルから引き出される香りが何層もの余韻を構築し、その奥深さに驚かされる。スタンダードなネグローニもクラフトジンに置き換えると独創性が増す。

また〈ヒサカ〉のカクテルには一つ一つストーリーがある。産地や使われているボタニカルを読み解きながら、そのボトルならではの一杯が表現され、ジンとカクテルに対する小倉さんの並々ならぬ愛が注がれている。

表側でサク飲みもよし、裏側でじっくりグラスと向き合うもよし。店内を行き来してハシゴ酒気分も味わえる。ジン初心者から玄人まで魅了する技ありの一軒だ。

TASTING ROOM

扉を抜けると、その奥は別世界!

THE HISAKAの店内
両壁に沿ってスタンディングスペースも。奥にある本棚になった隠し扉をスッと開くと、隠れ酒場のスピークイージーを彷彿とさせる秘密のバーが現れる。

BAR