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一度は食べたい。東京の老舗そば屋 5選

移り変わりの激しい飲食業界。蕎麦ほど、不変が尊ばれる料理は珍しいのかも。けど、ここに挙げる老舗は品質の維持に努めながらも伝統にあぐらをかかず、時流に即した工夫を重ねてきた。老舗には老舗たる理由がある。

Photo: Kayoko Ueda, Michi Murakami, Kenji Arata, Yuji Kanno, Takuya Suzuki, C.h.Lee, Yoichiro Kikuchi, Shin-ichi Yokoyama, Kayoko Aoki, Akihiro Nagata / Text: Kei Sasaki, Atsuo Kokubo, Hikari Torisawa, Itaru Tashiro, Yoko Fujimori, Michiko Watanabe, Mutsumi Hidaka, Ai Sakamoto, Mariko Miyadera / Cooperation: Hideyuki Ishigami

布恒更科(大森海岸)

江戸前蕎麦を知り尽くした主。その一杯は人情もたっぷり。

・開店の昭和38年から不変の店内。
・懐かし黒電話が現役でチリリン。
・店主は江戸前蕎麦の生き字引。
・笑顔が素敵な女将が接客。
・契約栽培の常陸秋蕎麦を使う。
・専用の作業室まである自家製粉。

〈布恒更科〉深川そば
深川そば¥1,550。たっぷりのアサリのむき身に、ネギと切り三つ葉。父の代から数えて40年以上続く一杯。

総本家 更科堀井(麻布十番)

真っ白な蕎麦はほんのり甘い。さらしなの本命、ここにあり。

・寛政元(1789)年創業。宮家にも愛されたという名門〈更科〉の本家筋がこちら。
・わずか15%の芯を使う白い蕎麦。
・季節の変わり蕎麦も年間22種。
・若き9代目はTwitterも活用中。

〈総本家 更科堀井〉さらしな
さらしな¥870。じっくり寝かせた本返しを使い、まろやかな口あたりの甘汁で食すのが基本。

本むら庵(荻窪)

常に「三たて」を徹底。独自の蕎麦を追究した先駆。

・先代が石臼の回転速度まで研究。独自の粗挽きを開発し今に至る。
・唇で粗さ、鼻で香味を感じる。
・備長炭で炙る本枯れ節のダシ。
・製粉もその日の分だけを毎日。
・通し営業で終日、地元客の姿が。

〈本むら庵〉あられそば
あられそば¥1,470。青柳の貝柱をあられに見立てた江戸前伝統の種物。蕎麦は、新蕎麦の時季で蕎麦粉9:つなぎ1の割合。

虎ノ門砂場(虎ノ門)

歴史ある佇まいに心躍る。御品書には進化を実感。

・大正12年築、国の登録有形文化財。
・蕎麦の実の中心に近い部分を使い、蕎麦粉10:つなぎ2の外二。
・6代目になり新メニューも意欲的。
・酒も充実。ワインはグラスでプイィ・フュイッセなども。

〈虎ノ門砂場〉辛みそば
辛みそば¥970。ピリッと辛いが甘味も感じる辛味大根をおろし、ぶっかけ冷やしに。6代目が加えた比較的新しい一品。

かんだやぶそば(淡路町)

この清々しい佇まいこそ、まさに江戸蕎麦の文化遺産。

・表門から緑茂る庭を通って中へ。渋い店舗は関東大震災後の再築。
・厨房に朗々と注文を通す女将の声。これも名物、味のウチというもの。
・つゆは醤油の香りが立った辛汁。
・外国人に喜ばれる蕎麦屋No.1。

〈かんだやぶそば〉あなご南ばん
あなご南ばん¥2,000。穴子は自前で捌き、つけ焼きに。手間はかかるが古くから供する。