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歌って最高!聴いて満足。東京の歌自慢スナック3選〈スナック青春〉〈もしも…〉〈Q&Q〉

様々な人間模様と、歌と人生が交差する日本の誇る社交空間、スナック。大いに笑い、癒やされ、時に涙さえも誘う憩いの場には、心温まる歌が流れている。今宵も歌おう、スナックで。Vol.1「歌って最高!聴いて満足。東京の歌自慢スナック3選〈カラオケ松竹〉〈スタジオ向日葵〉〈よーかんちゃん〉」を見る。

photo: Kenya Abe / text: Chisa Nishinoiri

スナック青春(中野)

マイク不要!
心で歌う青春ソング

「うちはカラオケ、置いてないの。代わりにあるのは7インチのレコード。まあ、時代の波に乗り遅れちゃっただけなんだけど(笑)、若い人にとっては逆に新鮮みたいね。カラオケが流行る前の時代はこれが普通だったから、70~80年代当時のベストヒットが揃ってますよ。歌謡曲を聴きながらお酒を飲むっていうのも、いいものですよ」

カウンターに積み上げられたドーナツ盤からその時の雰囲気にぴったりの一枚をチョイスして、昭和歌謡DJで店内を盛り上げくれる、ママのたまさん。昭和歌謡を目当てに集まるお客さんも多いそうだが、店ではロック、ポップス、アイドルソング、ニューミュージック、フォークソングにカントリーまで洋楽邦楽ジャンルを問わず幅広い音楽を聴かせてくれる。

レコードから流れる青春ソングに、心地よく耳を傾ける夜もあれば、客席総立ちで大合唱な夜もある。カラオケで散々盛り上がった後でも、つい立ち寄りたくなる止まり木のようなスナックだ。

もしも…(湯島)

歌声と白いエプロン姿に、
癒やされる

かつては花街として知られた湯島。その情景はすっかり影を潜めているが、街には遊び慣れた大人たちが集う落ち着いた雰囲気が漂う。そんな湯島で39年目を迎えるスナック〈もしも…〉。

白いエプロン姿の仁子ママに迎えられると、なんだか妙に心が和む。店には30年来の常連さんも多く、みなさん歌が大好き。もしかしたら聴いたことのない歌も多いかもしれないが、人生の悲喜こもごもを知る先輩方の歌声にグッとくる。常連さんとフロアレディの皆さんのアットホームな雰囲気に心がほぐれ、またすぐにでも「ただいま」と扉を開けたくなる一軒。

Q&Q(武蔵小山)

住宅街に潜む、
歌の宮殿

隠れたスナック街として知られる武蔵小山で、50周年を迎える街一番の古参。住宅地に突如輝くネオンサインの扉を開ければ、ドラマティックな照明の別世界が広がる。歌好きのマスター山田徳康さんが整えた抜群の音響と照明設備に照らされたステージは、歌を愛し、歌を楽しむための場だ。

土曜の夜は歌好きの常連たちが集い、人生の諸先輩方が抜群のマイクパフォーマンスを見せてくれる。自分の歌が回ってきたら、勇気を振り絞ってぜひステージへ。常連さんの温かな拍手と前口上に後押しされ、歌いきった頃には〈Q&Q〉の虜になっているだろう。