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東京・世田谷で、緑の森を散歩しながら器と食で心を満たす

〈静嘉堂文庫美術館〉のある岡本は二子玉川駅からも用賀駅からも徒歩20分のお屋敷町。地元客が集う世田谷の人気店で、「曜変天目」鑑賞帰りに器と食で心を満たす。

初出:BRUTUS No.891「曜変天目 宇宙でござる!?」(2019年4月15日発売)

photo: MEGUMI (DOUBLE ONE) / text: Yoko Fujimori

按田餃子 二子玉川店

早くも地元民の胃袋をつかむ水餃子でアジアの食文化に思いを馳せる

代々木上原の人気店が昨冬、二子玉川に登場。名物は皮にハトムギ粉を加えた水餃子。キクラゲや海藻、魚醤やスパイスを使ったヘルシーな無国籍料理はどれも新鮮な驚きと懐かしさがあり、確実にウマイ。自家製コーラなどドリンクも名作揃いだ。

西河製菓店

愛され続ける豆大福をお土産に、真摯な手仕事の朝生菓子の名店へ

1967年創業、半世紀にわたり味を守る和菓子店。お団子や初夏なら柏餅などその日のうちに食べる朝生菓子が看板で、手作りが信条。店頭は常に客で賑わう。甘味のあるつきたての餅、ふっくら炊いた品のいい粒あんなど嘘のない誠実なおいしさは、まさに“ニコタマの良心”だ。

Let It Be Coffee

益子焼のマグで格別のコーヒーを、常連のように過ごせる心地よさ

コーヒーショップで土もののマグカップは珍しい。〈ブルーボトルコーヒー〉の立ち上げに携わった宮崎哲夫さん、Motocoさん夫妻は大好きな作家の器でもてなす夢を自身の店で叶えた。器はすべて益子焼の遠藤太郎氏に依頼したもの。コーヒーの味の確かさとこまやかな接客で、今や地元の人々が集う場に。2人の笑顔はマグの手触りのように温かい。

南方美術店

国宝を愛でた帰りに古陶磁を一つ、日々使える良き品に出会える店

玉川通りの向かいにひっそりと立つ骨董店。李朝や日本の陶磁器をメインにオランダのデルフト焼など西欧のものも揃え、時代は14〜19世紀が中心。染付皿や向付、杯、花器など30代の若き店主が見立てる品は、どれも道具としての美しさが宿る。価格帯も数千円〜と手の届くものが大半。鑑賞用の美術品だけではない、実際に使う喜びに出会える店だ。

野菜の自動販売機

意外な世田谷名物を発見!鑑賞の土産に採れたて野菜はいかが

高級住宅街の美術館周辺は、実は世田谷野菜の生産地でもあり、無人の直販所が点在する。自動販売機にキャベツやニンジンなど朝採れの旬野菜が置かれ、価格は100〜400円ほど。

150円などの端数はお釣りが野菜に直接貼られていたり、とってものどか。

世田谷野菜のキャベツ
お釣りの50円玉がペタリ。