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バーテンダー目線で追求したジェラテリア&バー。四谷〈TIGRATO〉

料理のように季節を織り込んだアイスクリームとスペシャルティコーヒー。どちらも高いクオリティで出す店が増加中だ。アイスとコーヒーの親和性がさらに深化している……!

初出:BRUTUS No.1009「本当においしいアイスクリーム」(2024年6月3日発売)

photo: Kiichi Fukuda / text: Yoko Fujimori

ジェラートとコーヒーカクテルでアペリティーボを!

コーヒーとアイスクリームの蜜月状態が加速している。もちろん以前から“コーヒーが飲めるアイスクリーム店”はあったけれど、あくまでサブメニュー的な立ち位置が多かった。

だがここ数年は、コーヒーショップが手がける自家製アイスクリーム店をはじめ、両者が共にメインを張る店が増えているのだ。

その中でもバーテンダーの目線で両アイテムを追求するのが四ツ谷の〈TIGRATO〉。代表の高宮裕輔さんが「バーテンダーの活躍する場を広げたい」と開いた、昼から利用できるジェラテリア&バーだ。

高宮さんは農園などを訪ねるうち、作り手の情熱をなるべくそのまま提供したいと思うように。

「素材そのものを食べているみたい、と言われるような味と食感が理想。ジェラートは液体を組み立て、マシンに入れて固体にする作業ですが、感覚的にカクテル作りと似ているんです」と高宮さん。

バーテンダーならではの精緻な仕事で作り出す後味の澄んだジェラートを、質の高いドリップコーヒーやコーヒーカクテルと楽しめるのが、この店の強みだ。

「もっと日本にアペリティーボ(夕食前にお酒を楽しむイタリアの習慣)を根づかせたい」という店主・高宮さんの思いが息づく。ジェラートやコーヒーはもちろんアルコールも昼から楽しめ、15種類もの自家製ジェラートは、神奈川・秦野(はだの)市産の蕎麦の実やペルーの稀少品種・アマゾンカカオなど、作り手の姿勢に共鳴する素材を使用。砂糖はテンサイ糖をメインに、水飴など3種の甘味を使い分ける。

コーヒーは名古屋の名店〈ボンタイン珈琲〉の豆を、味にブレの出ない浸漬式(しんせきしき)ドリッパーで抽出。カクテルは当然のこと、バーテンダーの店主ならではの探究心と技術から、ジェラートもコーヒーも見事な完成度。午後からカクテルと共に嗜(たしな)めば、最高のアペリティーボ体験になる。

左/やよいひめ&ゴルゴンゾーラ660円をコーヒージントニック1,430円と。右/ピュアカカオ&soba 760円にはコスタリカのドリップ550円を。

季節を味わう、アイスクリームとコーヒー。羽根木〈Bole COFFEE & ICE CREAM〉