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僧侶として、布教のために来日。〈タシデレ〉黒木露讃さんが日本でお店を始めるまで

故郷から遠く離れた日本で、現地の味や文化を伝えるレストランを営む人たちがいる。チベット出身の黒木露讃さんはどんなきっかけで日本に来て、〈タシデレ〉をオープンしようと思ったのか。そこには人と人との出会いがあり、さまざまな物語があった。

photo: Shin-ichi Yokoyama, Kaori Oouchi / text: Akiko Yoshikawa

布教のため来日。妻と共に始めたのは笑顔を届ける店

両親は亡命チベット人で、私はネパール生まれの南インド育ち。2003年に僧侶として布教活動のため日本に来て、イベントでチベット料理を作ったり、チベット文化を伝える活動をしたりしていました。仏教美術の仕事をしている奈津子と知り合い、結婚して日本国籍も取りました。

〈タシデレ〉店主・黒木露讃さん
チベットの正月「ロサル」の祭壇と露讃さん。

チベットに興味がある人が集まり、イベントもできる場所を作りたくて2015年に店をオープンしました。今はコロナでオンライン中心ですが、チベット仏教、言語、歴史、音楽、医療などのイベントをたくさんしています。
私は商売の経験はゼロで、インドと日本は違います。実はお店を始める前はストレスがいったいどんなものかわからなかったけど、店を始めてからわかりました。でも、一番大変だったのは妻だと思います。

人の心はコントロールできなくても、自分の心はできる。自分が頑張って苦労して笑顔になれば、人も幸せになる。みんながこの店で楽しそうにしているのを見ていると、私も幸せです。

タシデレ(曙橋)

チベット料理を中心に、南インドのミールスやネパールのダルバートなども用意。チベット版どぶろくのチャンなど、ドリンク類も充実。

曙橋〈タシデレ〉ビーフモモ
ビーフモモ(サラダ&スープ付き)6個1,200円。代表的なチベット料理の一つ。牛挽き肉100%で、手作りの皮はもっちり。