餃子とタレで一皿完結
組み立てた人:原太一(多国籍料理レストラン〈LIKE〉シェフ)
例えばフランス料理が一皿の上で完結するように、イメージしたのは、餃子とタレで一皿完結スタイル。肉の旨味と植物性の旨味をタレが媒介となってつなぎ、旨味をさらに増幅させる。主役はあくまで餃子。主張はしすぎない、けれど一口食べるごとに味わいに変化をもたらしてくれる名脇役が、僕の理想とするタレです。
そこで大切にしたのが酸味、甘味、旨味、香りのバランス。旨味=だしをしっかり効かせることで骨格ができ、味がまとまりやすくなります。4つの組み合わせの中に1つ異質なものを組み入れることで、一見お馴染みと思える味の中に、おや⁉という引っかかりを表現してみました。
アサリとココナッツのスープ:アサリの旨味とココナッツが溶け合う、飲めるタレ
酸味こそ最高の調味料
組み立てた人:安田翔平(発酵レストラン〈Kabi〉シェフ)
料理のおいしさを構成する要素は多々ありますが、僕はすべての味わいを引き立てる酸味こそ、最大の調味料だと思っています。酸味がないとおいしいと感じないし、酸味がない料理は食べ飽きてしまう。そして一口に酸と言っても、旨味やコクを伴う発酵食品の酸味、ビネガーなどの爽やかな酸味、あとは柑橘や果実のフレッシュな酸味とさまざま。
素材による酸味のバリエーションと強弱で、味わいをコントロールします。今回考えたのは、酸味がテーマのタレ。店で使っている発酵系の調味料はすべて自家製ですが、今回は市販の食材に置き換えて、作りやすい組み合わせで提案します。
これはタレという名の宇宙:
甘味と旨味のレイヤーが、どんどん押し寄せる!
個性を印象づける、香るタレ
組み立てた人:山田英季(料理家、and recipe主宰)
旨味のもとは、動物性のイノシン酸と植物性のグルタミン酸。タレをたっぷりつけた餃子を一口で頬張ると、口の中で餡の肉汁とタレがどんどん混ざり合い、極上のスープとなって旨味の相乗効果を生みます。餃子にさらなるコクをプラスするか、あるいは肉汁をさっぱり流し込みたいか。市販の餃子でも、タレ一つで味わいの方向性を最終的にコントロールすることができますね。
個性を表現したい時は、香りに注目。近しい香り同士を組み合わせると、それらが奥行きとなってさらに旨味を増しますし、ハーブやナンプラーなど香りの強いものはちょい足しするだけで全体の印象ががらりと変わります。
サワークリームのロシア風:サワークリームとディルで、口中に広がるロシアン