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生まれ育った五島への思いをファッションに。田中奨伍が立ち上げたブランド〈TOMIE〉が始動

田中奨伍が立ち上げたブランド〈TOMIE〉が始動。生まれ育った五島への思いを、どのようにファッションに昇華したのだろう。

photo: Shin Inaba (portrait) / text: Shiho Nakamura

生まれ育った五島への思いをファッションに

今年7月にローンチした〈TOMIE〉は、田中奨伍さんがディレクションを手がけるブランドだ。長崎県五島列島の南西端に位置する、福江島。その南端にある町「富江」が、田中さんの出身地だ。富江をブランド名に冠した理由には、地元の人々と共に島おこしをしていきたい、恩返しがしたいという故郷への強い思いがあるのだそう。

もともと古着が好きだった田中さんは、20代のときに上京。老舗のヴィンテージショップ〈BerBerJin〉に勤務後、現在は、ヴィンテージロックTに定評があり、根強いファンを多く持つ〈LABORATORY®︎〉の会社役員を務めている。

長年アパレル業界に身を置く中で、「この経験を生かして、いつか自分のブランドを立ち上げたい」と考えてきたという。

「生まれたときからあまりにも身近に海があって、それが当たり前の光景だったので、若い頃は地元に興味がなかったんですよね。島を早く出たいなという気持ちばかりが強くて」

だが、年を重ねるうちに少しずつ気持ちが変化していった。「地元に帰るたびに、こんなに海がきれいだったのか、島の人々がなんて温かいんだろう、と改めて感じるようになりました」

昔は「違うんじゃない?」と切り捨ててしまっただろうことも、「もしかしたら、いいかもしれない」と、物事を眺める視野も広がったと実感する。「変わったこともありますが、いつまでも気持ちは20代でいたいですね」

ローンチと共に発表したのは、3種のデザインTシャツ。今だからこそできること、したいことを楽しみながら、今後は五島の要素を取り入れてブランドを膨らませていく。