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工芸作家・竹村良訓の机と仕事場。土を練る屈強な机と刺激を運ぶ小さな机

工芸作家の机は、手仕事を支える「道具」そのもの。工芸作家・竹村良訓のアトリエで圧倒的な存在感を放つ、作品とひとつながりの机。

photo: Norio Kidera / text: Masae Wako / edit: Tami Okano

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陶芸家の机は屈強だ。その上で、全身の力をかけて土を練るのだから。カラフルな磁器で人気の陶芸家、竹村良訓さんの机もかなり強そう。天板の厚みは10cm以上もある。

「工事現場の足場板ですね。油圧ショベルが載っても平気な板を2枚つなげて脚を付けました。塗装してない素の木なので、土の水気を適度に吸ってくれるんです」

仕事場は千葉県松戸市。工務店だった実家の倉庫を自ら改修し、工房と陶芸教室のアトリエと窯場にした。屈強な机以外にも、教室の生徒たちが使う小さい机があちこちに。

木の切れ端を使った3本脚の机も、小学校の古い机をろくろと組み合わせたものも、すべて竹村さんの手作りで、いわく「工務店育ちなので建物も家具も作れちゃう」のだ。ちなみに陶芸は独学。竹村作品の特徴である多彩な色、すなわち釉薬作りも独学だ。

「器はすべて一点もの。今の自分が作りたいものを形にして、似合う色をまとわせるんです。陶芸には形も手法も材料も無限にあると僕は思っていて、常に宝の山をひっくり返しているような面白さ。だから一度作った作品を再現することはないですね」

新しいアイデアは、散歩中でも愛犬と遊んでいても浮かんでくる。が、一番の刺激は、陶芸教室の生徒や工房に来る仕事仲間としゃべること。彼らのための小さな机もまた、創作の大事な助けなのだ。

そんな竹村さんが今夢中なのは、アメリカのクッキー型を使ったチャーミングすぎる器作り。

「猫におばけにハンバーガー。1970〜90年代のヴィンテージだと思うけど、どれも本当にかわいい。この型で抜いた土のパーツを、たたら作りの皿に貼り付けます」

屈強な机の上に土を置き、麺棒でごりごりと板状にする。それを使って成形するのが“たたら作り”。パーツを付けて素焼きしたら、釉薬をかけてさらに焼成する。

「僕は絵を描くのが得意ではないのですが、古道具屋でクッキー型を見た時、発見したんです。このゆるい絵を、自分の色使いや技術とうまく組み合わせれば、オリジナルになるんじゃないかって」

陶芸家・竹村良訓の仕事場
電気窯がある窯場。2つの机は釉薬の調合や実験をする「釉掛(ゆが)け」ゾーン。左は樹脂製の天板に脚を付けたもの。右は古道具。一つの新色を作るのに数ヵ月かかることも。

生活の中のアートピースを作りたい。使いやすいものもいいけれど、代えの利かない魅力や新しい発想にあふれたものを作りたい。

「だから、いろんな人が運んできてくれる刺激が大切。風通しのいい仕事場と、いつ来ても使ってもらえるたくさんの机が必要です」

陶芸家・竹村良訓の仕事机
長さ2m強、厚み10cm以上ある素木(しらき)の机で、土を練ったり成形したり。この机も奥の小さい机も自作。壁の絵は友人の画家、いぬいかずとの作。

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