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根本宗子のあまい東京記:昔も今も六本木で待つ、リング形の幸福

根本宗子が思い出のスイーツを綴る連載。前回の「学校帰りの有楽町で、ゴマを口いっぱいに」を読む。

illustration: Michiko Furutani / edit: Emi Fukushima

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〈アマンド〉の「リングシュー」

〈アマンド〉の「リングシュー」

1952年から販売をスタートした、老舗洋菓子店〈アマンド〉の看板シュークリーム。ふんわり食感のシュー生地に、生クリームと自家製カスタードをサンドした。530円(六本木店 TEL:03-3402-1870)

昔も今も六本木で待つ、リング形の幸福

ブルータスのカスタード特集でも選んだ〈アマンド〉のリングシュー。六本木にある〈アマンド〉が数年前に改装されて、2階の喫茶室がとても雰囲気も良くて、忙しない都会にいることをしばし忘れられる場所なのでとても好き。コロナ禍にいつも芝居の振り付けをしてくれているりこちゃんとひっそりゆったり束の間のカフェタイムを楽しんだこともありました。店内がアマンドカラーのショッキングピンク色なのになぜあんなに落ち着いた気分になれるのかが不思議です。

私が〈アマンド〉のリングシューと出会ったのはかれこれ25年以上前の幼少期。おうちに来る時にいつも箱にぎっしり詰まったリングシューを持ってきてくれるおばあちゃんのお友達がいて、「その人が来ると食べられるもの」という小さな私にとって特別なデザートでした。初めて自分の足で店舗に買いに行った時は大人になったという実感が込み上げた思い出もあります。いまだにどんなシュークリームよりも〈アマンド〉のものが好きで、近年は六本木リングシューや季節のリングシューというクラシックの豪華版も登場してクリームが増量されていてかなり贅沢な気分を味わえて最高。

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