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根本宗子のあまい東京記:演劇漬けの日々を支えた、癒やしの味

根本宗子が思い出のスイーツを綴る連載。前回の「鳥居坂を歩くと思い出す、至福の香り。」を読む

illustration: Michiko Furutani / edit: Emi Fukushima

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第3回〈銀座ウエスト〉の 「ヴィクトリア」

根本宗子のあまい東京記:〈銀座ウエスト〉「ヴィクトリア」のイラスト

1947年創業〈銀座ウエスト〉のベストセラー。クッキー生地とケーキ生地のコンビネーション、国産イチゴジャムの甘酸っぱさを楽しむことができる。195円(青山ガーデン店TEL:03-3403-1818)

演劇漬けの日々を支えた、癒やしの味

私にとって下北沢といえばのお菓子がある。でもそれは下北沢に売っていない。その名も〈銀座ウエスト〉の「ヴィクトリア」だ。
 
365日演劇に浸かっていた20代前半。ほぼ毎日のように下北沢にいた。小劇場の町・下北沢で稽古や舞台の本番を行う日々の中で癒やしをくれていたのがこの鮮やかな赤いジャムの色が印象的なお菓子だ。私の大好物だと何かのインタビューで言ってから差し入れでいただく機会が増え、そのたび役者仲間とはしゃいで食べていた本当に思い出のお菓子なのです。

一時期は朝食に「ヴィクトリア」を優雅に食べるのが我々の中でブームになり、「あっためて食べるとさらにおいしい!」ということに気がつき、嬉しい朝も悲しい朝も何度も温めてきました。

そんなヴィクトリア、全国の〈銀座ウエスト〉で買えるわけなんですがやっぱり青山ガーデン店で買うのが私は好き。2008年に改装されて新しくなった青山ガーデン店の優雅さも大好きだし、何よりクッキーが1つから買えるのがウエストの素晴らしいところだと思います。ちょっとした贅沢な朝を味わいたい時、ぜひ小銭を握り締めて青山へ向かっていただきたい。

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