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〈epulor〉店主に聞く、店の個性際立つ夏のレコード5枚とその理由

一面のレコード棚から次にかける一枚を嗅ぎ分けて選び出す。その選曲からは店の哲学や店主の人生までもが浮かび上がってくる。〈epulor〉店主・サトヨシさんが選ぶブルータスのための夏のプレイリスト。

text: Kanta Hisajima

epulor(東京/中目黒)

店主:サトヨシ

Q1

2021年7月1日最初にかけたい一枚は?

A1

『All Ashore』Punch Brothers

ブルーグラスならではの演奏やメロディの響きは、夏の一日の始まりにうってつけ。録音も良く、TANNOYのスピーカーとUESUGIの真空管アンプとも好相性。毛筆の滲みのような、柔らかい余韻を感じられます。

『All Ashore』Punch Brothers
『All Ashore』Punch Brothers

Q2

店に絶対になければならないお店を象徴する一枚は?

A2

『Orbe』Orbe feat. Luca

かけるたびに反響があるのがこの盤。両面がシーサイドとフォレストサイドに分かれていて、そのコンセプトの通り、自然の中にいるような聴き心地です。epulorのある東京の静かな夜にこそ、聴いてほしいレコードです。

『Orbe』Orbe feat. Luca
『Orbe』Orbe feat. Luca

Q3

音楽に夢中になるきっかけとなった一枚は?

A3

『Selected Ambient Works 85-92』Aphex Twin

口ずさむことのできる歌やメロディで音楽は構成されている、という概念を打ち破った一枚。アンビエントの音の組み立ては「聴く」というよりも、マーク・ロスコのような抽象画を眺めている気分。

『Selected Ambient Works 85-92』Aphex Twin
『Selected Ambient Works 85-92』Aphex Twin

Q4

最近手に入れた一枚は?

A4

『Ballads & Burton』Ann Burton With The Louis Van Dyke Trio

オランダのジャズシンガーのアルバムで、ずっと探していたレコードの一つです。空間を一瞬で彩る、深い憂いを帯びた美しい歌声は、一人を噛み締めて夜を過ごす人のために。

『Ballads & Burton』Ann Burton With The Louis Van Dyke Trio
『Ballads & Burton』Ann Burton With The Louis Van Dyke Trio

Q5

夏に飲みたいドリンクと一緒に聴きたい一枚は?

A5

『Early Bird』Leonardo Marques

ガルシア・マルケスの『百年の孤独』に登場する軍人が入り組んだ過去を思い出す時に流れてほしい音楽。彼の住む街に、もしepulorがあったなら、飲ませたいメニューがあります。その答え合わせに来ませんか?

『Early Bird』Leonardo Marques
『Early Bird』Leonardo Marques