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あっと驚くコシと弾力。冷麺の魅力を分解

朝鮮料理の冷麺が、日本に根付く過程においてアレンジされ独自の麺料理として発展。冷麺の魅力を分解してみました。

photo: Akihiro Nagata / text: Ai Sakamoto / edit: Michiko Watanabe

冷麺

朝鮮料理の冷麺が、日本に根付く過程においてアレンジ。独自の麺料理として発展した。盛岡冷麺がよく知られるが、最近では別府冷麺も台頭。いずれも弾力性のある麺を特徴とする。ここでは、盛岡冷麺発祥の店の流れを汲む東京・蒲田の〈平壌冷麺 食道園〉に話を聞いた。

歴史

強烈な個性を武器に
全国に広まるご当地麺。

盛岡冷麺の発祥は1954年。今も盛岡に店を構える〈食道園〉の初代・青木輝人が、故郷である北朝鮮・咸興の冷麺をもとに生み出したとされる。

最初は麺の材料に加えていた蕎麦粉を途中からなくすなどのマイナーチェンジを繰り返しながら、現在のスタイルを確立していったという上田喜代治さんが営む〈平壌冷麺 食道園〉は、その〈食道園〉の流れを汲む一店。元祖の味を伝える冷麺を今も提供している。ちなみに、盛岡冷麺という名は、86年に開催された『ニッポンめんサミット』を機に命名されている。

圧縮機で押し出すことで
あっと驚くコシを実現。

材料は、馬鈴薯でんぷん粉と小麦粉。それらを合わせて、熱湯を注ぎながらこねていく。出来上がった生地は専用の圧縮機で麺状に押し出しながら、すぐにゆで上げ。冷水にさらした後、よく水切りして盛り付ける。ちなみに〈平壌冷麺 食道園〉の麺の太さは約2mm。その弾力性に反して、延びやすいため、すぐ食べるのがお約束。

東京〈平壌冷麺 食道園〉冷麺用の厚さ2ミリの麺

スープ

長時間かけて仕上げる
滋味深いスープをどうぞ。

牛骨とチャーシュー用の牛肉、鶏ガラなどで取ったスープを使用。10時間かけてじっくり煮込みながら丁寧にアクを取ることで、澄んだ美しいスープに仕上げるのが上田流だ。味つけには、薄口醬油や砂糖、酢など。これに後から添えられるカクテキの辛さと酸味が加われば、パーフェクトなスープの出来上がりである。

東京〈平壌冷麺 食道園〉鶏ガラなどで取ったスープ

具材

カクテキ(キムチ)の
存在が鍵になる。

〈平壌冷麺 食道園〉では、牛のすねや肩、首の肉を使ったチャーシューにカクテキ、酢と砂糖で味つけたキュウリ、小口切りのネギ、ゆで卵、梨もしくはリンゴ、ゴマをのせる。店によっては、カクテキが白菜やキャベツのキムチになることも。口直しの意味もある果物は、季節に応じて、梨やリンゴ、スイカに替わる店が多い。

東京〈平壌冷麺 食道園〉冷麺 具材

平壌冷麺 食道園(西蒲田)

冷麺

仙台で1日500食以上を売り上げた人気冷麺専門店の仕掛け人が、2009年4月にオープン。冷麺の辛さは4段階に調節できる。

東京〈平壌冷麺 食道園〉冷麺
〈平壌冷麺 食道園〉の平壌冷麺780円。箸で麺をスープにまんべんなく絡めてから食べるのがポイント。牛肉の旨味が詰まったスープは、つい飲み干してしまうおいしさだ。