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山形や喜多方のご当地麺。冷やしラーメンの魅力を分解

高温多湿の日本の夏に欠かすことのできない冷たい麺。冷やしラーメンの魅力を分解してみました。

photo: Akihiro Nagata / text: Ai Sakamoto / edit: Michiko Watanabe

冷やしラーメンとは?

麺もスープも冷たくして食べるラーメン。氷を浮かべる店もある。山形や喜多方のご当地麺として有名だが、実は朝ラー(朝からラーメンを食べる習慣)で知られる静岡県藤枝でも人気のメニュー。中でも、〈マルナカ〉は約55年前にこの地で冷やしラーメンを始めた元祖である。

歴史

冷たいけど酸っぱくない
一杯を食べたくて考案。

冷やしラーメンが食べられるのは、藤枝市の中でも志太と呼ばれるエリアが中心。〈マルナカ〉の初代・小栗喜一が、現在の形を生み出したとされる。同店の創業は1919年。冷やしの誕生は、55年ほど前に遡るという。

「冷やし中華の酸味が苦手だった初代が、酸っぱくない冷たいラーメンが食べたいと試行錯誤して考案したようです」(3代目・小栗孝昌さん)。この味が周囲に広まり、今ではマルナカスタイルの温冷ラーメンを提供する店を総称して「志太系」と呼ぶまでに。もちろん全店、一年を通して冷やしが食べられる。

温にも冷にも合う
ストレート中太麺。

〈マルナカ〉で使われているのは、自家製のストレート中太麺。温冷ともに同じ麺で、2種類の小麦粉と鹸水のみで作る。「鹸水濃度が低いため、じっくり時間をかけて寝かせます」(小栗さん)。ツルツルとした喉越しの良さとコシの強さが身上。沢ガニが棲むほどキレイな湧き水があるなど、良質な地下水の存在もその味の決め手とか。

静岡〈マルナカ〉ストレート中太麺

スープ

魚介と豚肉を使った
あっさり醬油味。

焼津港の鰹節をはじめとする節類、チャーシュー用の豚モモ肉、少量のラードなどを加えて煮切った醬油ダレがベース。表面に浮いてくる脂分はきれいに取り除く。ダシは特になく、お湯で割る昔ながらのスタイル。温冷で濃度が異なり、冷やしの方が薄めだ。冷には少量の砂糖を加えているので、ほんのりとした甘さが口に残る。

静岡〈マルナカ〉醬油ダレ

具材

あっさりスープを
邪魔しない黄金の布陣。

チャーシュー(煮豚)にメンマ、万能ネギ、ノリ、紅ショウガ、ワサビのシンプルな構成。チャーシューには脂身の少ない豚モモ肉を使用しているので、朝から食べても胸やけの心配はない。冷やしだけにトッピングされる紅ショウガとワサビは、味変にも威力を発揮。特にワサビは、蕎麦を彷彿させる醬油味のスープとよく合う。

静岡〈マルナカ〉冷やしラーメン 具材

マルナカ(静岡県/藤枝市)

冷やしラーメン

温かい中華そば(並)450円と冷やしの両方を食べ比べるのがオススメ。順番はお好みだが、温→冷と頼む人が多いとか。

静岡〈マルナカ〉冷やしラーメン
〈マルナカ〉の冷やし(並)550円。ガラスの丼に麺がみっちり詰め込まれている。朝からゴクゴク飲めるあっさりスープで、女性やお年寄りでもペロリと完食してしまう。