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手作りのリメイクジーンズ。原田真助の妄想、将来ヴィンテージ

味がある古着を買うのもいいけれど、自分で価値を見出したものを、じっくりと時間をかけてヴィンテージに育てていくのもロマンがあっていい。作家やショップオーナー、デザイナーなど目利きが手に入れた現行品をネタに、20年後の姿を妄想してみた。

Illustration: Kazutaka Tsugaoka / Text: Toromatsu

育ち方が自分でもわからない
新しい価値を創造するデニム。

自分は最近“ファブリックオブレスキュー”と題した活動を始めていて、工場で捨てられる生地を救出したり、売れない古着などを買い取って新しい製品に変えたりしているんです。1年ほど前に、1980年代のU.S. NAVYパンツのビッグサイズが、デッドストックでたくさん余っているという連絡をいただき、それをリメイクして作ったパンツがこちらのもの。

手作りのリメイクジーンズのイラスト
手作りのリメイクジーンズ
W40~42インチの大きすぎて需要がなかった1980年代U.S. NAVYパンツを30~36インチにリメイク。サイドと裾をつまんだ独特なシルエットで、唯一無二な色落ちを楽しめる。

サイドと裾にタックを入れることで全体を細くしながらも、膝回りはボリュームがありテーパードしているという独特なシルエットに仕上がりました。自分の店などで販売して顧客にも珍しがってもらえたのはよしとして、自分で穿き込んでいると普通では起こり得ないラインでヒゲができ始めたんです。

これからさらにどういう表情になっていくのかが自分でもわからないのが面白くて、ここ1年ほぼ毎日穿いていて。継ぎはぎやリサイズを繰り返しながら、年々表情を変えていけるといい。自分で手を加えることで愛着が湧いたり、新しい発見も生まれる。オートクチュールの感覚に似ているというか、オーナーに染まったものは、より長く愛せると思うんです。