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〈フォックスレーシング〉のモトクロスジャージ。落合宏理の妄想、将来ヴィンテージ

味がある古着を買うのもいいけれど、自分で価値を見出したものを、じっくりと時間をかけてヴィンテージに育てていくのもロマンがあっていい。作家やショップオーナー、デザイナーなど目利きが手に入れた現行品をネタに、20年後の姿を妄想してみた。

Illustration: Kazutaka Tsugaoka / Text: Toromatsu

日本にはマーケットが少ない
ニッチなスポーツ服に着目。

わざわざ大阪までモトクロスをしに行ったりするほどバイクに夢中になってるんですけど、この〈フォックスレーシング〉のジャージを手にしたことで、日本にもモトクロス服をミックスするカルチャーが生まれたらいいのになって思うようになりました。

アメリカでモーターサイクルは三大スポーツの次に位置する人気スポーツ。ベースボールキャップを被ったり、バスケットボールやフットボールチームのユニフォームなんかをファッションに取り入れるように、モトクロスジャージも普通に着られています。

FOX RACINGのモトクロスジャージのイラスト
FOX RACINGのモトクロスジャージ
モトクロスやMTBの世界で知らない人のいないUSブランドから、2020年に発売されたチームジャージ。立体裁断や吸水速乾メッシュ素材など現代のテクノロジーが詰まった逸品。

映画『グーニーズ』や、ドラマ『ストレンジャー・シングス』などでも馴染みのあるスタイル。今のものなのにカラーリングなどもすごくオールドスクールでかっこいいし、〈フォックスレーシング〉は〈シュプリーム〉がコラボしたりもしていて、やっぱりアメリカでの支持は厚い。

BMXやスケートボードチームのヴィンテージユニフォームのようだし、日本でもそういう製品が好きな人なら受け入れられるはず。しかも細部には最新の技術が詰まっていて、首回りをシームレスにしていたり、機能的なストレスがないよう袖を長くしていたりもする。僕自身、数年後にこのジャージから着想を得たアイテムを作っていたりするかも……。

すでに世の中に広まっている良いものは、本当に素敵なもので、そのまま残っていくべき。でもこういう我々があまり知らないカルチャーのものも、もしかしたら将来日本で注目されているかもしれず、ヴィンテージショップに飾られていたっておかしくない。トラディショナルなトレンチコートにモトクロスジャージが定番のスタイルになっていたら面白いよね(笑)。